2026.10.15
保育園で流行しやすい感染症とは?ガイドラインに沿った対策と発生時の対応
保育園では、一年を通してさまざまな感染症が流行します。子ども同士の距離が近い園生活では感染が広がりやすく、「流行を防ぐにはどうしたらいいの?」「感染症が出たときはどう対応するの?」と不安に感じる保育士の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、感染症の主な感染経路や保育園で流行しやすい感染症の種類を解説します。あわせて、普段からできる予防方法と嘔吐処理、登園基準の確認などを公的機関のガイドラインをもとに紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
感染症の主な感染経路

感染症を予防するには、病原体がどのように広がるのかを知ることが大切です。感染経路を理解することは、保育園での感染症対策につながります。ここでは、保育園で特に注意したい4つの感染経路について解説します。
飛沫感染
感染している人のせきやくしゃみ、会話の際に飛んだ唾液を吸い込むことで感染する経路です。子ども同士が近い距離で過ごす保育園では、最も身近な感染経路といえるでしょう。
インフルエンザや溶連菌感染症など、多くの感染症がこの経路で広がります。
接触感染
病原体が付いた身体やおもちゃ、ドアノブなどに触れ、その手で口や鼻、目に触れることで感染する経路です。乳児期は何でも口に入れて確かめる時期のため、おもちゃの共有を通して感染が広がることも少なくありません。
手足口病や咽頭結膜熱(プール熱)などが代表的です。
経口感染
病原体を含む食べ物を口にしたり、便や嘔吐物に触れた手を介して病原体が口から体内に入ったりすることで感染する経路です。ノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎が代表的で、おむつ交換や嘔吐物の処理の際には特に注意が必要です。
空気感染
空気感染は、空気中を漂う病原体を吸い込むことで感染する経路です。飛沫感染とは異なり、同じ空間にいるだけで感染する可能性があります。
代表的なのは麻しん(はしか)や水ぼうそうです。感染力が非常に強いため、予防接種が有効な手段となります。
入園時に子どもの予防接種歴を確認しておくと安心です。
保育園で流行しやすい主な感染症の種類

| 感染症名 | 感染経路 | 主な症状 |
| インフルエンザ | ・飛沫感染 ・接触感染 | 38℃以上の発熱、せき、鼻水、関節痛など |
| 感染性胃腸炎(ノロウイルス) | ・経口感染 ・接触感染 ・飛沫感染 | 嘔吐、下痢、発熱など |
| 手足口病 | ・飛沫感染 ・接触感染 ・経口感染 | 発疹(手のひら・足の裏・口の中)、発熱など |
| ヘルパンギーナ | ・飛沫感染 ・接触感染 ・経口感染 | 突然の高熱、のどの奥の水疱など |
| RSウイルス感染症 | ・飛沫感染 ・接触感染 | 発熱、鼻水、せき(乳児は重症化の可能性あり) |
| 溶連菌感染症 | ・飛沫感染 ・接触感染 | 発熱、のどの痛み、発疹、いちご舌など |
| 咽頭結膜熱(プール熱) | ・飛沫感染 ・接触感染 | 発熱、のどの痛み、結膜炎(目の充血)など |
感染症によって、流行しやすい季節や症状の特徴はさまざまです。「発熱している子が増えてきたな」と感じたら、感染症の可能性を考えて検温や視診をこまめに行いましょう。
日頃の対策と発生時の対応は、次で詳しくお伝えします。
保育園で普段からできる感染症対策

こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、保育所の日常での衛生管理の方法が詳しく示されています。ここでは、保育士が普段から取り組みたい5つの感染症対策についてご紹介します。
①手洗いの徹底
食事の前やトイレの後、おむつ交換後、嘔吐物の処理後などには、石けんを使って流水でしっかりと手を洗いましょう。手を拭く際はペーパータオルか個人のタオルを使い、タオルの共用は避けます。
子どもたちにも手洗いの大切さを伝えましょう。手洗いの工程を楽しい動作にして一緒に手順を確認するなど、正しい手洗いの方法を伝えていきたいですね。
②おもちゃ・園内の清掃と消毒
乳児が口に入れたおもちゃは、その都度おもちゃの素材にあった方法で消毒します。ドアノブや手すり、照明のスイッチなど多くの人が触れる場所は、水拭きした後にアルコールなどで除菌しておくと安心です。
③換気と適切な湿度管理
季節を問わず、こまめな換気を心がけましょう。ガイドラインでは、保育室環境のめやすとして室温は夏26〜28℃・冬20〜23℃、湿度は60%が示されています。
加湿器を使う際は、衛生面の観点から水を毎日交換することも忘れないでください。
④日々の健康観察・検温
登園時の視診や検温で、子どもの機嫌や顔色などをよく観察しましょう。「いつもと様子が違う」と早く気づくことが、園内での感染症流行を防ぐことにつながります。
気になる様子があれば、保護者と共有しておくことが大切です。
⑤職員自身の体調管理・予防接種
職員が感染源にならないよう、日頃から自身の体調管理にも気を配りましょう。予防接種をしたり罹患歴を確認したりすることも、子どもたちを守ることにつながります。
風邪予防については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事▶︎子どもの風邪予防!保育園でできる対策方法まとめ
保育園で感染症が発生したときの対応

どれだけ予防していても、感染症の発生を完全に防ぐことはできません。大切なのは、発生したときに感染を広げないことです。ここでは、発生時の対応を3つのポイントに分けて解説します。
1.嘔吐物・排泄物の処理手順
嘔吐物や便には、ノロウイルスなどの病原体が含まれていることがあります。使い捨て手袋・マスク・エプロン、ペーパータオル、次亜塩素酸ナトリウム、ビニール袋などをまとめた処理セットを常備しておくと、いざというときに慌てずに対応できますよ。厚生労働省の「感染対策普及リーフレット」では、次の手順が示されています。
- 窓を開けて換気し、汚染場所に人が近づかないようにする
- 使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用する
- 嘔吐物はペーパータオルなどで外側から内側に向けて拭き取る
- 使用したペーパータオルはすぐにビニール袋に入れる
- 嘔吐物が付着していた床とその周囲を、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(水1Lに対してペットボトルキャップ4杯弱)を染み込ませたペーパータオルなどで覆うか、浸すように拭く
- 使用したペーパータオルや手袋などはビニール袋に入れ、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませて消毒する
- ビニール袋の口をしっかりとしばって廃棄する
- 処理後はしっかりと手洗いをする
処理の流れを職員間で共有し、定期的に練習しておくと安心です。
2.登園基準・出席停止期間の確認
ガイドラインでは、学校保健安全法施行規則の出席停止期間の基準に準じて、感染症ごとに「登園のめやす」が示されています。たとえば、インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過していること(乳幼児の場合)」、ウイルス性胃腸炎は「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」がめやすです。
また、登園を再開する際には、感染症の種類に応じて医師が記入する「意見書」または保護者が記入する「登園届」を提出してもらうなどの対応が考えられます。自治体や園によって異なるため、園のルールを確認し、保護者へ事前に周知しておきましょう。
3.保護者への連絡と園内での情報共有
園内で感染症が発生したら、掲示やおたより、連絡アプリなどで流行状況を保護者に知らせましょう。発生したクラスや人数、注意したい症状を伝えることで、家庭でも早めの受診や休養につなげられます。
その際は、個人が特定されないよう配慮することが大切です。あわせて、職員間でも感染状況を共有し、消毒や健康観察を強化するなど園全体で対策を進めます。
感染症が広がる様子があるときは、嘱託医や保健所、自治体に相談しながら対応しましょう。
感染症対策の基本を知り、流行期も落ち着いて対応しよう
保育園は多くの子どもたちが一緒に生活する場だからこそ、感染症が広がりやすい環境です。感染経路と流行しやすい感染症の特徴を知っておくことで、日々の手洗いや消毒、換気などの予防対策ができるでしょう。
嘔吐物の処理手順や登園基準、保護者との連携といった発生時の対応の流れを事前に理解しておけば、流行期にも落ち着いて行動できます。ガイドラインを園内で確認し合いながら、子どもたちが安全で健康に過ごせる環境をつくっていきましょう。
<参考資料>
・公益社団法人日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」
・こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)」
・厚生労働省「感染対策普及リーフレット」












