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保育士のひきだし

2020.04.02

子どもの風邪予防!保育園でできる対策方法まとめ

体調を崩しやすい季節の変わり目は、風邪をひく子どもが多くなる時期です。保育園内の流行を防止するため、何かしらの対策をとっている保育園も多いでしょう。本記事では保育園でできる風邪の予防対策についてご紹介いたします。

すぐにうつる?保育園で風邪が流行しやすい原因

保育園では、一人の子どもが風邪を引いただけで、あっという間に他の子どもにうつることがよくあります。「気付いたらクラスの半数が風邪になっていた」という経験をお持ちの方もいるでしょう。

まずは保育園で風邪がうつりやすい原因を理解し、今後の対策に活かしていきましょう。

子どもは大人に比べて免疫力が低い

子どもの体は発達途中のため、大人よりも風邪をひきやすい傾向があります。新生児は母体からもらった「免疫グロブリン」と呼ばれる抗体が体に残っていますが、生後6カ月以降はその抗体が減少していきます。そのため、生後6カ月以降から体調をくずしやすくなる子どもが多いのです。特に月齢が低い子どもは免疫力が低く、重症化しやすいので、注意が必要です。

【参考】大田市立病院 第99回 『子どもは病気にかかりやすい』

子ども同士の接触が多い

保育園は集団生活の場です。クラスで一緒に遊んだり、給食やお弁当を食べたり、近くでお昼寝したりするなど、常に他の子どもが側にいる環境です。また、イベントや行事で保育園内にいる全員の子どもたちと同じ場所に集まったり、系列保育園との合同行事で大勢の子どもたちと触れ合う機会もあるでしょう。このように、接触する子どもの人数が多ければ、当然風邪がうつってしまう確率も高くなります。

密閉された空間内でのせきやくしゃみ

保育園は1つの部屋で大勢の子どもが生活しています。子ども同士の距離が近い密閉された空間で、せきやくしゃみをすると、近くにいる子どもがウイルスを吸い込んで感染するリスクが高くなります。特に冬場は乾燥していることに加え、夏場よりも換気の回数が少なくなるため、ウイルスが保育室に蔓延しやすくなります。

鼻水やつばが付着した手でおもちゃなどを触る

風邪をひいた子どもが鼻水やつばをふいた手でおもちゃを触ったり、他の子どもと手をつないだりすることも、風邪が広がる原因です。せきが出ているのにマスクをしていない子どもから、ウイルスがうつる場合も少なくありません。特に01歳児は「鼻をかむ」「手を洗う」という動作を一人ではできませんし、おもちゃや身の回りのものをなめることも多いため、注意が必要です。

保育園での風邪を予防するための対策7

 

「子どもの風邪が治った!と思ったらまだ別の子どもから風邪をもらってしまった…」という状況を防ぐために、保育士ができる子どもたちの風邪予防対策を7つピックアップしました。子どもが楽しく健康に保育園で過ごせるように、できることから始めましょう。

①    手洗い・うがいを徹底する

風邪予防の基本は、手洗いとうがいです。子どもがお散歩や外遊びから帰ってきたときには、保育士が「手洗いとうがいしようね」としっかり声をかけましょう。もちろん、昼食やおやつ前、トイレ後に手を洗うのも忘れずに。

ハンドソープで10秒間手をごしごしと洗い、水を手に15秒間あてて洗い流すと、ウイルスの残存率がおよそ0.001%に抑えられるといわれています。

次に、効果的なうがいの手順を解説します。

  • 歯磨きをするときのように、口の中に水を含んで「くちゅくちゅ」と強めの音を立ててから吐き出す
  • 口の中に水を含んで上を仰ぎ、のどの奥に水が入り込めるようにしながら「がらがら」と音を立ててうがいをして、水を吐き出す
  • 2の手順を繰り返す

上記の手洗いとうがいのコツを、イラストを添えた注意書きとして、水道付近に掲示すると注目を集め、子どもにも分かりやすいでしょう。手洗いやうがいを忘れてしまう子どももいるため、風邪が流行している時期は、保育士が子どもをしっかり見守りましょう。

【参考】国立医薬品食品衛生研究所「ノロウイルスによる食中毒の現状と対策について」

関西学院大学 保健館「効果的な手洗い・マスク・うがいのしかた」

②    検温チェックや視診を怠らない

保育園で毎朝行う検温では、「子どもの体温がいつもと比べてどのように変化しているか」に注目しましょう。「いつも平熱が低めだけど、今日はいつもよりも体温が高い」という子どもがいた場合は、朝の受け入れ時に、保護者の方へ子どもの家での様子をたずねたり、連絡帳をチェックしたりして、体調の変化を確認することが重要です。そのまま熱が上がらなければよいのですが、次のような様子が見られる場合は体調をくずしているのかもしれません。

  • 顔色が悪い
  • 外で遊びたがらない
  • いつもより食べる量が少ない
  • 何となく不機嫌
  • 家に帰りたいと言う
  • 声がかすれている
  • せきやくしゃみ、鼻水がある
  • 下痢

検温チェックや視診はどうしても「流れ作業」になってしまいがちですが、子どものちょっとした変化を見逃さないことが、風邪や感染症の予防や早期対応のカギです。

③    園内をこまめに掃除・消毒して衛生管理

感染症が流行する時期は、とにかく園内を清潔に保つのが大切です。子どもが鼻水やつばが付着した手で園内の手すりやおもちゃを触れている可能性があるため、次の場所は念入りに掃除、消毒しましょう。

  • 水道の蛇口
  • ドアノブ
  • 洗面台
  • 便座、トイレのふた、トイレットペーパーホルダー、流水スイッチ
  • 机やいす
  • ロッカー
  • おもちゃ、おもちゃの棚
  • 共有で使う道具

特に感染のリスクが高い乳児用のオムツ交換代は、使うたびに消毒する必要があります。また、ぬいぐるみや布類は洗濯、もしくは日光消毒をしましょう。

④    加湿器や空気清浄機を使って乾燥を避け湿度を保つ

乾燥しているとウイルスは活発になります。保育室では加湿器を使って適度な湿度を保ちましょう。また、季節に合わせた室温に設定するのもポイントです。厚生労働省による「保育所における感染症対策ガイドライン」では、夏の室温2628℃、冬の室温2023℃、湿度は通年60%に設定することを推奨しています。高温高湿になると、カビやダニなどが繁殖してしまうため、部屋を暖めすぎたり湿度を高くしすぎないよう注意してください。また、季節問わず11回は必ず換気するようにしましょう。空気清浄機を使ってウイルスや花粉を除去するのも効果的です。

【参考】厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)」

⑤    小まめな水分補給を呼びかける

乾燥していると、のどにウイルスが付着しやすくなります。乾燥している日は、子どもたちに水やお茶を飲むよう、小まめに声をかけてください。緑茶に含まれる「カテキン」には殺菌作用があるため、おすすめです。

⑥    お便りで保護者の方と風邪予防の情報を共有する

感染症を予防するためには、保護者の方との協力も必要です。家庭でも予防を意識してもらうため、お便りで保育園で風邪が流行していることや、風邪予防のポイントを共有しましょう。

  • 家庭内でも手洗い・うがいを呼びかける
  • 部屋で洗濯物を干したり、生花を飾ったりして部屋の湿度を上げる
  • バランスのよい食生活を心がける
  • 汗をかいたらすぐに着替えさせる

また、インフルエンザやRSウイルスなどが流行している場合は、予防接種の呼びかけも必要です。保育園と家庭で協力して予防対策することが、全体の感染リスクを下げることになります。

⑦     規則正しい生活リズムを促す

風邪に負けない丈夫な体を作ることも、風邪予防の1つです。日中はなるべく子どもを外へ連れ出して、お散歩や運動遊びをさせて、とにかく体力を付けるように促しましょう。日中の運動量が増えれば、食欲も増進します。さらに、太陽の光を浴びることで、睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌され、質のよい睡眠がとれます。睡眠は免疫力を高め、筋肉や骨を作る「成長ホルモン」の分泌を促す作用があるため、子どもの成長や丈夫な体作りには欠かせない要素です。子どもが規則正しい生活を送れるよう、保育士がしっかりサポートしましょう。

【参考】秦野市 子育て若者相談課 子どもの睡眠~成長ホルモンが作用~

子どもが風邪を引いたら?保育士がすべき対応

自分が担当するクラスの子どもが体調を崩してしまった場合、保育士はどんな対応をとるべきでしょうか?対応の手順をまとめました。

他の子どもから離し、安静に過ごすように配慮

子どもがせきや高熱、だるさを訴えている場合は、他の子どもから離れたところに移動させましょう。医務室があればそこで安静に過ごすのが一番よいのですが、場所がない場合は、保育士の休憩室に子どもを運んで、手が空いている保育士に様子を見てもらいます。家庭から持参した布団に子どもを寝かせて、本や折り紙など、静かに遊べるものを渡して、保護者の方が迎えに来るまで待ちましょう。

保護者の方へ連絡し、お迎えに来てもらう

子どもに発熱や嘔吐、下痢などの症状がみられる場合は、すぐに保護者の方へ連絡して、お迎えに来てもらいましょう。もちろん、共働き家庭に場合は、すぐに迎えに行くことが難しい場合もあります。しかし、子どもの体や周りの子どもへの影響を考えると、やはり早く家に帰した方がよいでしょう。保護者の方が保育園に到着したら、子どもの状態や一日の様子を口頭で伝えるほか、連絡帳にも記載しておきましょう。

保育士も手洗いやうがい、消毒をして風邪予防

当然ですが、保育士もきちんと体調管理しなくてはいけません。日頃から手洗いやうがいを心がけ、「風邪気味かな?」と思ったらマスクを着用し、早めに寝たり、とにかく身体を休めることが大切です。また、子どもの嘔吐物や排せつ物を処理するときは、専用のエプロンやビニール手袋、マスク、帽子などを装着して、嘔吐物や排せつ物に直接触れないように注意しましょう。処理が終わったら、必ず手洗いや消毒を行ってください。

もし保育士が風邪をひいてしまったら休む?出勤する?

どんなに注意していても、保育士が風邪をひいてしまうこともあるでしょう。人手不足の職場が多いため、中には「休んだら他の職員に迷惑がかかる!」と罪悪感を抱き、体調が悪いにもかかわらず、出勤する保育士もいます。しかし、体調がすぐれないまま出勤してしまうと、子どもや他の保育士にも風邪をうつしてしまう可能性があります。また子どもに何かあったときに適切な対応ができず、結果的に子どもを危険な目にあわせてしまう可能性もあるでしょう。体調が悪いときは、とにかく無理せず休みましょう。

まとめ

保育園の風邪予防では、子どもと保育士、そして保護者の方がそれぞれ予防の意識を高めることが大きなポイントです。子どもが健康に楽しく保育園生活を送れるように、今回ご紹介した感染予防のポイントを実践していきましょう。

【参考】厚生労働省「特集1 一人ひとりの心がけが大切 抗生物質・抗菌薬の正しい使い方」


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