2026.05.30
【例文あり】伝わる保育日誌の書き方
保育日誌には、日々の保育内容や子どもの様子を記録します。活動内容だけではなく、子どもの変化や友達とのやり取り、保育士の援助などを振り返りながら記録することで、その後の保育にもつながっていきます。一方で、「どこまで具体的に書けば良いかわからない」「内容が毎回似てしまう」と悩む保育士も少なくありません。
本記事では、保育日誌の基本的な役割や構成、項目ごとの書き方を整理するとともに、年齢別の例文や、よくある悩みについても具体的に解説します。
保育日誌とは何か

保育日誌は、担任や担当保育士が、その日の保育内容や子どもの様子を、規定のフォーマットに沿って書きます。クラス担任だけが個人的に管理するのではなく、園長や他の保育士と共有・回覧される「園としての正式な記録」という扱いになります。
以前は手書きの書類が一般的でしたが、現在はICTシステムの導入により、パソコンやタブレットで入力・管理を行う園も増えています。
保育日誌の役割
保育日誌には、日々の保育を支えるための重要な役割があります。
まず、どのような活動を行い、子どもたちにどのような姿が見られたかを記録することで、日々の保育を見つめ直す「振り返り」としての役割です。
次に、職員間で情報を共有し、園全体で一貫した保育につなげる「情報共有」。
そして、記録を積み重ねることで、子どもの発達の過程やクラス全体の変化を把握しやすくする「成長の把握」が挙げられます。
これらの記録は、翌日の活動や環境構成を考えるための「次への展開」に活かされるだけでなく、適切な保育が行われていることを示す園の正式な記録としての側面も持っています。
連絡帳・指導案との違い
保護者へ渡す「連絡帳」が家庭との共有を目的としているのに対し、保育日誌はあくまで園内での共有を目的としています。
また、作成するタイミングや目的において、「指導案」とも明確な違いがあります。指導案は、活動のねらいや子どもの動きを予測して組み立てる「事前の計画書」です。これに対して保育日誌は、その計画に基づいて実際に行った保育の結果を書き残す「事後の記録」になります。
保育日誌の基本構成と書き方

保育日誌の書式は園によって異なりますが、多くの場合は「活動内容」「子どもの姿」「援助・配慮事項」「振り返り」などの項目で構成されています。それぞれの項目で書くべき内容をメモしたり、頭の中で整理したりしておくことで、日々の記録をスムーズにまとめやすくなります。
活動内容の書き方
活動内容の項目では、その日に行った保育や一日の流れを書きます。単に活動名を並べるだけではなく、どのように活動を進めたか、クラス全体としてどのような動きがあったかなどもあわせて記載します。また、天候や活動場所、使用した教材などを記録しておくことも、状況を振り返る助けになります。
子どもの姿の書き方
子どもの姿では、活動中の様子や友だちとのやり取り、言葉や行動で見られた変化、保育士との関わりなどを書きます。単に「楽しそうだった」などの抽象的な表現だけで終わらせず、実際の行動や場面をもとに具体的に記載することが、状況を正確に伝えるポイントです。
配慮事項・援助の書き方
配慮事項や援助では、保育士がどのような対応や関わりを行ったかを記録します。例えば、活動への参加を迷っている子への声かけや、友だちとのトラブルがあった場面、安全面で配慮が必要だった場面などについて、具体的にどのように援助したのかを書いていきます。
振り返りの書き方
振り返りでは、その日の活動や子どもの様子を踏まえながら、今後の保育につながる視点を書きます。活動内容が子どもの興味に合っていたか、どのような関わりが必要だったか、次回の活動で工夫したい点はどこかなどを考察します。単に反省を書くことだけが目的ではなく、今後の保育に活かす視点を持ちましょう。
書くときの基本ポイント
保育日誌を書く際は、一日の出来事をすべて網羅しようとするのではなく、「何を園で共有し、次にどう活かしたいか」というポイントを意識します。
クラス全体の大まかな流れだけでなく、その日特に変化が見られた「特定の子どもの具体的なエピソード」に焦点を当てて書くことも、質の高い記録につながります。抽象的な言葉に頼りすぎず、実際の行動ややり取りを具体的に書き残すことで、後から読み返したときに、子どもの発達の過程や活動中の様子が具体的に伝わります。
年齢別に見る保育日誌の書き方

保育日誌では、年齢によって記録する視点が変わります。0~2歳児は生活面や保育士との関わり、3~5歳児は友だちとのやり取りや集団活動での様子などを書く場面が増えていきます。
特に乳児期は一人ひとりの発達差が大きいため、クラス全体の日誌とあわせて、個人別の記録(個別日誌)で詳細な経過を把握していくことが一般的です。
0歳児
0歳児は、睡眠・食事・排泄などの生活面や、機嫌、体調の変化を中心に記録します。月齢差が大きいため、一人ひとりの様子を具体的に残していくことが多い年齢です。
【クラス全体の例】
午前中は室内でゆったりと過ごした。保育士が歌をうたうと、手足を動かしたり声を出したりする姿が見られた。眠気が強い子もいたため、それぞれの生活リズムに合わせて休息を取った。
【特定の子どもの例】
〇〇ちゃんは、ミルク後に機嫌よく過ごしていた。腹ばいの姿勢で近くの玩具に手を伸ばし、触れようとする姿が見られた。保育士が名前を呼ぶと顔を向け、笑顔を見せていた。
1歳児
1歳児は、自分でやってみようとする姿が増え、探索活動も活発になります。保育士とのやり取りに加え、簡単な言葉や動きで友だちに関わろうとする場面も見られます。
【クラス全体の例】
園庭遊びでは、砂を容器に入れたり、保育士と一緒にシャベルを使ったりしながら遊んでいた。歩きながら園庭内を探索し、気になる玩具を手に取る姿も見られた。片付けの時間には、保育士の声かけを聞いて玩具を箱に入れようとする子もいた。
【特定の子どもの例】
〇〇くんは、外遊びの準備で自分の靴を持って座っていた。保育士が靴を床に置くと、自分で足を入れようとする姿が見られた。途中でうまく入らず保育士の顔を見る様子があり、「こっちだよ」と向きを伝えると、足を動かしながら履こうとしていた。
2歳児
2歳児は、自分の思いを言葉で伝えようとする姿が増える時期です。一方で、使いたい玩具が友達と重なったり、思いがうまく伝わらなかったりして、保育士の仲立ちが必要になる場面も見られます。友だちとのやり取りや、気持ちの切り替えの様子などを書くことが増えていきます。
【クラス全体の例】
ままごと遊びでは、「〇〇作る」「これ使う」など、自分の思いを言葉で伝えながら遊ぶ姿が見られた。友達と同じ玩具を使いたい場面では泣いて気持ちを表す子もいたが、保育士が間に入りながらやり取りを見守ることで、別の玩具を選んで遊び始める様子もあった。
【特定の子どもの例】
おままごと遊びで、〇〇ちゃんは△△ちゃんが使っていた鍋を見て「使いたい」と話していた。△△ちゃんが「まだ使う」と返すと、その場に座り込んで涙を見せていた。保育士が「終わったら貸してもらおうか」と声をかけると、近くの皿を並べながら待つ姿が見られた。その後、鍋を受け取ると「ごはんができた」と保育士に見せていた。
3歳児
3歳児は、友だちと同じ遊びを楽しんだり、簡単なルールを意識したりする場面が増えます。ごっこ遊びや集団遊びの中で、友だちとのやり取りや、遊びへの参加の仕方を書き残すことが多くなります。
【クラス全体の例】
お店屋さんごっこでは、「いらっしゃいませ」「これください」などの言葉を交わしながら遊んでいた。友だちのやり取りを見て同じように声をかけたり、品物を並べ直したりする姿も見られた。
【特定の子どもの例】
〇〇くんは、△△くんと□□ちゃんがお店屋さんごっこをしている様子を近くで見ていた。保育士が「ジュースくださいって言ってみる?」と声をかけると、小さな声で「ください」と伝えていた。△△くんから玩具のジュースを受け取ると、その後は自分から机に並んでいる品物を指差しながら「これください」と話す姿が見られた。
4歳児
4歳児は、友だちと相談しながら遊びを進めたり、自分の役割を意識したりする姿が増えていきます。一方で、自分の思いと友だちの思いが重なり、言い合いになる場面もあります。やり取りの過程や、保育士の関わりを書き残すことで、その後の援助にもつながります。
【クラス全体の例】
廃材製作では、数人ずつに分かれて動物づくりを行った。「ここをテープで貼ろう」「〇〇ちゃんは耳を作って」など、役割を相談しながら進める姿が見られた。完成後は、できあがった作品を友だち同士で見せ合っていた。
【特定の子どもの例】
〇〇ちゃんは、△△ちゃんと動物を作っていたが、「耳はこっちにつけたい」と意見が分かれる場面があった。最初は互いに譲らない様子だったが、保育士が「両方試してみる?」と声をかけると、順番に貼り替えながら形を確認していた。完成後は、「かわいいね」と話しながら一緒に作品を見ていた。
5歳児
5歳児は、友だちと話し合いながら活動を進めたり、役割を意識して行動したりする姿が増えます。活動の中で見られた工夫や、友だちとの関わり、気持ちの変化なども記録につながります。
【クラス全体の例】
リレー遊びでは、走る順番やバトンを渡す位置を子どもたち同士で確認しながら取り組んでいた。「もっと前で待っていた方がいいよ」など声をかけ合いながら、繰り返し練習する姿が見られた。
【特定の子どもの例】
〇〇くんは、1回目のリレーでバトンを受け取る位置がわからず、後ろを振り返って立ち止まっていた。△△くんが「ここで待つんだよ」と声をかけると、次の回では立つ位置を自ら確認していた。2回目の練習後には、「今度は止まらなかった」と△△くんと喜び合い、目標に向かって協力する姿が見られた。
FAQ保育日誌でよくある悩みと対応

毎日書く保育日誌には、「どこまで具体的に書くべきか」「内容が似てしまう」などの悩みを感じる場面もあります。ここでは、保育日誌を書く際によくある疑問や悩みに答えます。
Q.子ども一人ひとりについて、クラス全員分をそれぞれ書くべきでしょうか。
A.一人ひとりの様子を細かく記録しようとすると、内容が長くなりすぎることがあります。
保育日誌では、クラス全体の流れを書いたうえで、その日の中で変化が見られた場面や援助が必要だった場面、職員間で特に共有したい子どもとのやり取りなどを中心に、必要に応じて個別のエピソードを書いていくことが一般的です。
すべての子どもを同じ分量で書くというよりも、「その日に共有したい内容は何か」を基準にまとめます。
Q.保育日誌の内容が毎回似てしまいます。
A.活動内容だけを書いていると、同じような記録が続くことがあります。その場合は、
・誰と関わっていたか
・どのような言葉があったか
・援助後にどのような変化が見られたか
・活動への参加の仕方に変化はあったか
など、見る視点を変えることで内容を書き分けやすくなります。
また、「楽しそうだった」などの表現を、「〇分間集中して取り組んでいた」「〇〇と言いながら繰り返し挑戦していた」といった具体的な動作や言葉に置き換えるだけで、その日ならではの記録になります。
Q.活動内容や子どもの様子を、どこまで具体的に書く必要がありますか。
A.保育日誌では、一日の出来事を細かくすべて書く必要はありません。活動内容だけではなく、子どもの行動や発言、その場でのやり取りが伝わる程度の具体性を意識しましょう。その日の中で共有したい場面や、継続して見ていきたい姿を中心にまとめることがポイントです。
Q.トラブルや怪我、予定通りにいかなかったことなど、ネガティブな出来事はどの程度記載すべきでしょうか。
A. どのような状況で発生し、保育士がどう介入し、その後園としてどのような対応を取ったのかを、客観的な事実に基づいて正確に記録します。ネガティブな出来事ほど感情的な表現を避け専門的な視点で記録することが、子どもの安全管理と園の信頼を守ることにつながります。
まとめ
保育日誌は、その日の活動内容を書き残すだけではなく、次の保育につなげるための記録です。活動内容だけではなく、子どもの行動や発言、子ども同士のやり取り、保育士の関わり、共有したいエピソードを振り返りながら書くことで、保育の経過を確認しやすくなります。
その日の保育の中で何を記録として残したいのかを意識しながら、日々の子どもの姿や保育の経過を書き留めていきましょう。












