2026.08.21
【1歳児】噛みつきやひっかきの原因と対応方法
1歳児クラスで起こりやすいトラブルが子ども同士の噛みつきやひっかき。一瞬のできごとにヒヤッとしますよね。
それと同時に保護者にどう伝えようか悩んだことのある保育士の方も多いのではないでしょうか。この記事では、噛みつき・ひっかきが起こる理由を発達の視点から解説します。
あわせて、起きたときの対応の流れや未然に防ぐ工夫、保護者への伝え方を具体的に紹介しますので、ぜひ保育の参考にしてくださいね。
噛みつき・ひっかきはなぜ起こる?

噛みつきやひっかきは1歳ごろの子どもによく見られる姿のひとつです。1歳児に噛みつき・ひっかきが起こりやすい理由を発達の視点から見ていきましょう。
1.気持ちを言葉でうまく伝えられない時期だから
1歳ごろは「やりたい」「貸してほしい」「イヤだ」といった気持ちが育つ一方で、自分の気持ちを言葉で伝える力がまだ十分ではありません。思いをうまく伝えられないもどかしさが、噛みつきやひっかきという形で表れる場合があります。
気持ちを言葉で言えるようになると、噛みつきやひっかきも少しずつ落ち着いてくるでしょう。
2.自我が育ってきた成長の証だから
この時期は「自分でやりたい」「これは自分のもの」という自我が芽生える時期です。友だちへの興味も出てくるため、おもちゃの取り合いなどで思いがぶつかる場面も増えていきます。
噛みつき・ひっかきは、気持ちが育ってきたからこそ見られる成長の過程でもあります。「困った行動」ではなく、心が育ってきたサインとして受け止めたいですね。
3.環境や体調の影響を受けやすいから
進級や新入園児の受け入れなどの環境の変化、寝不足や体調不良などによって気持ちが不安定になると噛みつき・ひっかきが増えることがあります。また、歯が生えてくる時期でもあるため、歯茎がムズムズすることから、噛んで感覚を確かめようとしていることも考えられるでしょう。
子どもの行動の背景にはさまざまな要因が重なっていることを知っておくと、落ち着いて対応できるでしょう。
参考:かみつきやひっかきは、どうしてするの?仙台市こども若者局 幼稚園・保育部 運営支援課
噛みつき・ひっかきが起きたときの対応の流れ

どんなに気をつけていても、噛みつき・ひっかきを完全に防ぐことは難しいものです。ここでは、起きてしまったときの対応の流れを順番に整理していきましょう。
1.子どもの安全確認と手当てを最優先にする
噛みつき・ひっかきが起きたときは、あわてず子どもの安全を確保することが最優先です。まずは次の2点を行いましょう。
- 子ども同士を離し、傷の確認と手当て(冷やす・洗うなど)
- かみあとやひっかき傷の状態を確認し、必要に応じて看護師や園長に報告
腫れや内出血は時間がたってから目立ってくることもあるため、その後もこまめに経過観察を行ってください。
2.子どもの気持ちに寄り添う
手当てが済んだら、どちらの子どもの気持ちにも寄り添うことが大切です。噛まれた子には「痛かったね」「びっくりしたね」と気持ちを受け止める言葉がけをしましょう。
噛んだ子に対しても、一方的に叱るのではなく「おもちゃを使いたかったんだね」と、まずは気持ちを代弁します。そのうえで「噛むと痛いよ」と短く伝えましょう。気持ちは受け止めつつ、してはいけないことは簡潔に伝えるのがポイントです。
3.職員間で共有し、記録を残す
トラブル後は、いつ・どこで・どんな状況で起きたのかを記録し、職員間で共有しましょう。ヒヤリハットを活用するのもおすすめです。
状況を振り返ることで「自由遊びの時間に多い」「特定のおもちゃの取り合いで起こりやすい」といった傾向が見え、次の予防につながります。また、1人で抱え込まず、クラス全体・園全体で対応していきたいですね。
噛みつき・ひっかきを防ぐためにできる工夫

噛みつき・ひっかきをすぐに無くすことは難しいですが、環境や関わり方を工夫することで、少しずつ減らしていくことができます。ここでは、保育現場で実践できる工夫を3つご紹介します。
1.おもちゃの数や遊びのスペースを見直す
おもちゃの取り合いは、噛みつき・ひっかきのきっかけになりやすい場面です。人気のおもちゃは同じものを複数用意すると、取り合いになる場面を減らすことができます。
また、子ども同士の距離が近すぎることも、トラブルが起こりやすくなる要因のひとつです。コーナーを分けて少人数で遊べる場所をつくるなど、一人一人がゆったり遊べる環境を整えてみましょう。
2.子どものサインに気づける立ち位置を意識する
噛みつき・ひっかきは一瞬のできごとですが、その前には「友だちのおもちゃに手を伸ばす」「表情がこわばる」といった小さなサインが見られることが多いです。保育士同士で声をかけ合い、クラス全体を見渡せる立ち位置を意識しましょう。
トラブルになりそうな場面に気づくことができれば、「こっちにも楽しいおもちゃがあるよ」と間に入って別の遊びに誘うことができます。
3.気持ちを言葉にして代弁する関わりを続ける
ふだんから「貸してほしかったんだね」「もっと遊びたかったね」と、子どもの気持ちを言葉にして代弁する関わりを続けましょう。気持ちを言葉にしてもらう経験をすることで、子どもは「気持ちは言葉で伝えられる」ということを学びます。
すぐに効果が見えなくても、日々の関わりを大切にすることで噛みつき・ひっかきの減少につながっていくでしょう。
保護者への伝え方のポイント

噛みつき・ひっかきの対応では子どものケアはもちろん、保護者への伝え方にも悩みますよね。ここからは保護者への伝え方のポイントを解説します。
噛まれた子の保護者には丁寧に伝える
噛まれた子の保護者には、園での活動中に起きたこととして丁寧に謝罪します。そのうえで、傷の状態や園で行った手当て、今後の防止策を伝えましょう。
できるだけお迎えのときに直接伝えるのが基本ですが、その日に会えない場合は連絡帳に記入し、後日あらためて直接伝えるようにします。
噛んだ子の保護者への伝え方は園の方針を確認
噛んだ子の保護者に伝えるかどうかは、園によって方針が異なります。自己判断はせず、園長や主任に確認してから対応しましょう。
伝える場合は「この時期の成長の過程でよく見られる姿」であることを添え、保護者が自分を責めすぎないよう配慮することが大切です。また、環境の変化など家庭での背景が影響している場合も考えられるため、可能であれば家庭での様子を聞きながら、園と家庭とで一緒に援助の方法を探っていけるとよいですね。
噛みつき・ひっかきは成長の証。落ち着いた対応を心がけよう
噛みつき・ひっかきは、気持ちが育ってきたからこそ見られる、1歳児ならではの姿です。「困った行動」ではなく成長の過程のひとつと捉えることで、子どもへの寄り添い方が変わります。
起こる原因を知り、対応の流れや保護者への伝え方を保育士間で共有しておけば、慌てずに対応できるでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、子どもたちの成長を見守っていってくださいね。












