保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

2026.08.17

子どもと接するスタッフに知ってほしい。今日の声かけが変わる本【10選】

1. 地頭の強さを深める本

地頭力を鍛える
著:細谷功
出版社:東洋経済新報社

この本は、知識量ではなく 考える力 そのものを鍛えるための本です。地頭力というと難しく聞こえますが、学童や保育の現場に置き換えると、子どもの行動を表面だけで判断せず、なぜそうしたのか、何に困っていたのか、次にどう支えればいいのかを考える力に近いです。本書では、フェルミ推定をはじめ、限られた情報から仮説を立てて考える方法が扱われています。東洋経済STOREでも、本書は仕事術・思考法のベストセラーとして紹介されています。

学童の現場では、走らないで、早くして、ちゃんとして、と言いたくなる場面が毎日あります。でも地頭力の視点を持つと、なぜこの子は今走ったのか、何が見えていなかったのか、どう伝えたら次に動けるのかと考えられるようになります。子どもに対しても、答えをすぐ教えるのではなく、どう思う? ほかに方法あるかな? と問いかけやすくなります。

声かけを変えるなら、
間違ってるよ ではなく、どうしてそう思ったか聞かせて。
早くやって ではなく、次に何をしたら終わりそう?。
この本は、スタッフ自身の考える体力を鍛える一冊です。

2. 感性の豊かさを深める本

センス・オブ・ワンダー
著:レイチェル・カーソン
訳:上遠恵子
出版社:新潮社

これは、子どもと接する大人にこそ読んでほしい名著です。内容は厚い専門書ではなく、子どもと自然の中を歩きながら、美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性を大切にしようというエッセイです。新潮社の紹介でも、子どもたちへの一番大切な贈りものとして、自然を一緒に探検し、発見の喜びを味わう本だとされています。

この本がスタッフ向けに良いのは、感性は教え込むものではなく、一緒に味わうものだと気づかせてくれるところです。子どもが 葉っぱが変な形してる 雨のにおいがする 虫がこっち見てる と言った時、大人が そんなこといいから早くして と流すか、よく気づいたね と受け止めるかで、その子の感性の芽は変わります。

学童では、外遊び、帰り道、季節の製作、雨の日の室内活動など、感性が育つ場面がたくさんあります。この本を読んでおくと、子どもの発見をただの寄り道ではなく、学びの入り口として見られるようになります。

声かけに変えるなら、
何してるの? ではなく、何を見つけたの?。
早く来て の前に、それ、面白いね。あとで先生にも教えて。
感性を育てる大人のまなざしが深まる一冊です。

3. 慈愛と思いやりを深める本

思いやりの力 共感と心の健康
著:櫻井茂男
出版社:新曜社

思いやりを、ただ 優しくしましょう という道徳的な言葉で終わらせず、心理学の視点から理解できる本です。新曜社の公式紹介では、思いやる心はどう育つのか、思いやりのない人とどうつきあえばいいのかを、心理学の成果からわかりやすく解説する本とされています。目次にも、共感、向社会的行動、視点取得、役割取得など、子どもの関わりを理解するうえで役立つ概念が並んでいます。

学童では、思いやりが必要な場面が本当に多いです。友だちを遊びに入れる、順番を譲る、困っている子に声をかける、泣いている子の近くでふざけない。けれど、やさしくしなさい と言うだけでは、子どもには何をすればいいのか伝わりにくいことがあります。この本を読むと、思いやりは性格の良さだけではなく、相手の立場を想像する力や、行動に移す経験によって育つものだと見えてきます。

声かけに変えるなら、
やさしくして ではなく、相手は今どんな気持ちだったと思う?。
貸してあげなさい ではなく、貸せるかどうか、自分の気持ちも考えて決めていいよ。
思いやりを押しつけず、相手と自分の両方を大切にする声かけへ変えられます。

4. 自己肯定感を深める本

自己肯定感、持っていますか?
著:水島広子
出版社:大和出版

自己肯定感という言葉はよく聞きますが、現場では 褒めればいい 自信を持たせればいい と単純化されがちです。この本は、そうした表面的な自己肯定感ではなく、自分を否定しすぎず、人との関係の中で安心して存在できる感覚を考える本です。紹介文では、いつも不安、他人に振り回される、人間関係がつらい原因は 自分を認められないこと にあるとされ、対人関係療法の第一人者が新しい自信の育て方を紹介する本とされています。

子どもの自己肯定感を育てる時、大人はつい すごいね えらいね と結果を褒めがちです。でも、結果だけを褒めると、できなかった時に自分は価値がないと感じやすくなることもあります。この本を読むと、子どもを評価するより、存在や過程を受け止めることの大切さが見えてきます。

声かけに変えるなら、
できてすごいね だけでなく、最後までやろうとしていたね。
失敗しちゃったね ではなく、うまくいかなくても、あなたがダメってことじゃないよ。
子どもを伸ばす声かけは、結果を盛ることではなく、安心して挑戦できる土台を作ること。この本は、その視点を深めてくれます。

5. レジリエンスを深める本

やり抜く力 GRIT
著:アンジェラ・ダックワース
訳:神崎朗子
出版社:ダイヤモンド社

レジリエンスや粘り強さを考えるうえで、とても相性が良い本です。ダイヤモンド社の紹介では、IQでも才能でもない、成功に必要な第3の要素として やり抜く力 を扱い、自分で身につける方法だけでなく、子どもなど他人のやり抜く力を伸ばす方法まで明らかにする本とされています。

学童の現場では、子どもの小さな挫折が毎日起きます。負けたからやめる、難しいから投げ出す、うまくできないから泣く。そんな時、大人が もう一回やればいいじゃん と軽く言ってしまうと、子どもは自分の悔しさをわかってもらえないと感じることがあります。この本の視点を持つと、やり抜く力は根性ではなく、興味、練習、目的、希望の積み重ねだと理解できます。

声かけに変えるなら、
あきらめないで ではなく、どこが難しかった? 次はそこだけ一緒にやってみよう。
泣かないの ではなく、悔しかったんだね。それだけ本気だったんだね。
レジリエンスは、泣かない強さではなく、気持ちを受け止めたあとに戻ってこられる力。この本は、その支え方を考える助けになります。

6. 自分で選ぶ力を深める本

嫌われる勇気
著:岸見一郎、古賀史健
出版社:ダイヤモンド社

アドラー心理学を対話形式で読みやすく解説したベストセラーです。ダイヤモンド社公式では、アドラー心理学の第一人者である岸見一郎さんと古賀史健さんが、哲学者と青年の対話篇形式でアドラーの思想を解き明かす本として紹介されています。

この本がスタッフ向けに役立つのは、子どもの課題を大人が背負いすぎない視点を持てることです。学童では、子どもが困らないように、失敗しないように、先回りして大人が決めてしまうことがあります。でも、自分で選ぶ力は、小さな選択を重ねることで育ちます。どの遊びを選ぶか、どう謝るか、いつ宿題をするか、困った時に誰へ助けを求めるか。大人が全部決めてしまうと、子どもは考える機会を失います。

声かけに変えるなら、
こうしなさい ではなく、あなたはどうしたい?。
先生が決めるね ではなく、選択肢はこの2つ。どちらにする?。
もちろん放任ではなく、子どもが選べる範囲を整えることが大切です。この本は、支配ではなく支援する関わり方を考える入口になります。

7. 違いを受け入れる力を深める本

多様性の科学
著:マシュー・サイド
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

多様性を みんな違ってみんないい というきれいごとで終わらせず、なぜ違いが集団の力になるのかを具体例で理解できる本です。出版社公式では、CIA、グローバル企業、登山隊、ダイエットなど、あらゆる業界を横断し、多様性の必要性を解き明かす本として紹介されています。目次にも、画一的集団の死角、エコーチェンバー現象、平均値の落とし穴など、現場にも応用できる視点が並んでいます。

学童の現場にも、実は多様性の問題がたくさんあります。静かに過ごしたい子、ずっとしゃべっていたい子、すぐ動く子、慎重な子、ルールをすぐ理解する子、時間がかかる子。スタッフ側が 普通はこう と一つの型で見てしまうと、その子の良さが見えなくなります。

声かけに変えるなら、
なんでみんなと同じようにできないの? ではなく、この子はどんな入り方なら参加しやすいかな?。
違うことをしている ではなく、違う視点を持っているかもしれない。
この本は、子どもの違いを困りごとだけでなく、集団を豊かにする視点として見直す助けになります。

8. 気持ちを言葉にする力を深める本

言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える
著:樺沢紫苑
出版社:幻冬舎

精神科医の樺沢紫苑さんによる、思いや感情を言葉にすることの力を扱った本です。幻冬舎公式では、思いや感情を 書く 話す だけで心が楽になり、現実が変わり、人生が動き出す本として紹介されています。また、精神科医として30年の経験と、4000件を超える悩み相談に答えてきた実績の集大成ともされています。

学童の子どもたちは、気持ちは強く動いているのに、言葉が追いつかないことがよくあります。嫌だった、むかつく、最悪、だけで表現してしまうこともあります。でも、その奥には 悲しかった 恥ずかしかった 仲間に入りたかった びっくりした など、もっと細かい感情があります。この本の考え方を持つと、大人は子どもの感情を言葉にする通訳役になれます。

声かけに変えるなら、
なんで怒ってるの? ではなく、悔しかった感じ? それとも悲しかった感じ?。
早く言って ではなく、まだ言葉にできなくても大丈夫。先生と一緒に探そう。
気持ちを言葉にできると、子どもは自分の心を扱いやすくなります。

9. 自分を守る力を深める本

人間関係 境界線の上手な引き方
著:おのころ心平
出版社:同文舘出版

自分を守る力を深めるには、バウンダリー、つまり自分と他人の境界線を知ることが大切です。この本は、上から目線の人、愚痴ばかりの人、はり合ってくる人、不機嫌を表に出す人、依存しがちな人との距離の取り方を扱っています。Google Booksでは、のべ5万時間以上のカウンセリングから見出した 病気にならない人間関係 心理学として紹介されています。

学童では、やさしい子ほど、友だちに合わせすぎたり、嫌なのに断れなかったり、貸したくない物を無理に貸してしまったりすることがあります。スタッフ側も、やさしくしなさい、仲良くしなさいと言いすぎると、子どもが自分の気持ちを守れなくなることがあります。

声かけに変えるなら、
貸してあげなさい ではなく、今は貸せる? それともあとなら貸せる?。
仲良くしなさい ではなく、嫌だったら嫌って言っていいよ。言い方を一緒に考えよう。
思いやりと自己犠牲は違います。この本は、自分も相手も大切にする距離感を考える助けになります。

10. 好奇心と学び続ける力を深める本

冒険の書 AI時代のアンラーニング
著:孫泰蔵
出版社:日経BP

AI時代の学びを考えるなら、この本はかなり今のテーマに合います。青山ブックセンターの商品紹介では、起業家の孫泰蔵さんが最先端AIに触れて抱いた80の問いから生まれた本で、なぜ勉強しなければいけないのか、好きなことだけしていてはダメなのか、自分らしく生きるにはどうすればいいのか、といった問いが紹介されています。

この本がスタッフ向けに良いのは、学びを 正解を覚えること から 問いを持ち、古い前提を問い直すこと へ広げてくれる点です。AIが多くの答えを出せる時代に、人間に必要なのは、答えを丸暗記する力だけではありません。何を問うか、何に違和感を持つか、どう学び直すかが大切になります。

声かけに変えるなら、
先生も知らないから終わり ではなく、先生も知らない。一緒に調べてみよう。
そういうものだから ではなく、なんでそうなっていると思う?。
子どもの好奇心を止めないスタッフは、子どもに学び続ける大人の姿を見せられます。この本は、その姿勢を取り戻す一冊です。

 

ライクキッズ株式会社 指導員 K.Y先生

 


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