保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

2025.10.27

【例文あり】保育士になりたい理由・志望動機の伝え方|新卒・転職・経験別で解説

保育士を目指すとき、「なぜ保育士になりたいのか」「どうしてこの園を志望するのか」を自分の言葉で伝えることが大切です。この記事では、保育士になりたい理由や志望動機を整理し、より自分らしく表現するための手順と考え方を紹介しています。各章の例文やQ&Aを参考にしながら、自分らしいメッセージにしてみてください。

「保育士になりたい理由」と「志望動機」の違い

「保育士になりたい理由」は、保育という仕事に興味を持ったきっかけや、子どもと関わることへの思いを言葉にしたものです。一方で「志望動機」は、どんな園で、どのような保育士として働きたいのかを丁寧に伝えます。どちらも就職活動で重要な要素ですが、役割が少し異なります。
「なりたい理由」は“保育という仕事を選んだ背景”を語るものであり、「志望動機」は“その園を選ぶ理由”と“自分がどう貢献できるか”を伝えるものです。

  • なりたい理由:子どもと関わる仕事を通して成長を支えたいと思ったきっかけ
  • 志望動機:その思いを叶えるために、その園の方針や環境に共感していること

というように、前者は「気持ちの出発点」、後者は「具体的な行動の方向性」と考えると整理しやすくなります。

なりたい理由・志望動機の掘り下げ方

保育士になりたい理由や志望動機を考えるときは、いきなり文章にするのではなく、まず自分の考えを整理するところから始めます。ここでは、思考を深めるための具体的な方法を紹介します。

1.思いつく言葉をすべて書き出す

まずは、「“保育”という言葉から自分がイメージすること」「保育に関して興味があること」について、頭の中に浮かんだ言葉をそのまま書き出してみましょう。
たとえば以下のように書き出してみます。

  • 子どもの笑顔を引き出す
  • 発達支援に興味がある
  • インクルーシブ保育
  • 安心できる環境づくり
  • 自己肯定感を育てる
  • 非認知能力を伸ばす
  • 主体性を育てる
  • 保護者との信頼関係
  • 食育・健康づくり
  • 多様性への理解
  • 保育と教育の連携

書き出したうえで、近年の保育で重視されているキーワードとの結びつきを意識すると、自分が関心を持っているテーマがより明確になります。
ポイントは、短い言葉やフレーズで書くことです。まずは数を出すことを意識し、あとで「なぜそう思ったのか」「どんな体験がきっかけだったのか」と関連づけて整理します。

2.キーワードマップで関連づける

次に、書き出したキーワードを「キーワードマップ(関連図)」として整理してみましょう。紙の中央に「保育士になりたい理由」と書き、そこから線を伸ばして関連する言葉やエピソードをつなげていきます。
たとえば、

  • 「発達支援」→「子ども一人ひとりに合わせた関わり」→「インクルーシブ保育」
  • 「自己肯定感」→「挑戦を支える」→「安心できる環境」
  • 「遊びの中での学び」→「非認知能力」→「主体性を育てる」

といった形で、思考を視覚的に整理します。

キーワードマップを作ることで、単なる「子どもが好きだから」ではなく、「なぜそう感じたのか」「自分が重視している価値観は何か」がはっきりします。その結果として、自分の志望動機の“軸”を発見しやすくなります。

3.経験との接点を見つける

キーワードマップを整理したら、それに関わる具体的な経験を探してみましょう。

たとえば、

  • 実習で発達に個性のある子どもと関わり、対応方法を工夫した
  • 異年齢保育の中で、上の子が下の子を助ける姿に学んだ
  • 子どもの“できた”を見逃さないために記録や観察をした
  • 保護者対応の中で、家庭と園の橋渡しを意識した

こうした経験を対応させることで、「考え」だけでなく「行動」を示す志望動機になります。

志望動機の書き方・伝え方のポイント

志望動機は、書類と面接で求められる伝え方が異なります。書類では「構成と整理力」、面接では「伝え方と印象」が重視されます。同じ内容を扱う場合でも、どのように見せるか・どんな順番で話すかによってイメージが大きく変わります。

基本的な構成

履歴書やエントリーシート、面接で志望動機を述べるときは、「結論(志望理由)」→「経験(根拠となる具体的なエピソード)」→「今後の目標」で構成することを意識しましょう。「結論ファースト」でまず自分の意思を簡潔に伝え、なぜそう考えるに至ったかを過去の経験や具体的なエピソードで説明します。締めに自分の考えや価値観が志望している園とどのように一致しているのか、その園にどのように貢献できるのか、を具体的に伝えます。これにより、志望動機に説得力が生まれ、相手に熱意が伝わります。

書類と面接の違い

書類では、論理的で読みやすい構成を意識します。限られた文字数の中で、伝えたい内容を簡潔にまとめることが重要です。文体は「です・ます」調で統一し、熟語や端的な言葉を使って視覚的に整えると印象が良くなります。

一方、面接では自然な口調で、相手に伝わるように話すことが求められます。「〜と思っています」「〜していきたいです」など、柔らかく前向きな言葉を選び、表情や姿勢でも誠実さを伝えましょう。エピソードを短くまとめ、声のトーンや話す速さで抑揚をつけると、印象に残りやすくなります。

【書類・面接】立場別 志望動機の例文集

ここでは、「新卒」「転職希望者」「ブランクあり」「異業種からの転職」の4つの立場ごとに、書類用と面接用の志望動機の例文を紹介します。
同じ内容でも、書面では構成力や整理の明快さが、面接では話し方や言葉の温度感が重視されます。それぞれの立場で意識したいポイントを踏まえながら、実際の表現の違いを確認してみてください。

新卒の場合

新卒の場合は、経験よりも「学ぶ姿勢」や「子どもへの関心」を中心に伝えます。実習やボランティアなどで記憶に残った出来事を一つ選び、その経験からどんな気づきを得たかを整理します。

  • 書類用 例文
    【結論】保育士として、子ども一人ひとりの気持ちに寄り添いながら成長を支える保育を実践したいと考えています。
    【経験】実習では、最初は緊張していた子どもが毎日の声かけを通して笑顔を見せてくれるようになり、丁寧な関わりの大切さを学びました。
    【今後】貴園の「主体性を育てる保育方針」に共感しており、学びを重ねながら信頼される保育士を目指します。

  • 面接用 例文
    【結論】子ども一人ひとりの気持ちに寄り添い、成長を支える保育をしていきたいと思います。
    【経験】実習で、最初は緊張していた子が毎日声をかけるうちに少しずつ笑顔を見せてくれるようになり、関わり方の大切さを感じました。
    【今後】これからも学びながら成長し、子どもたちが安心して過ごせる環境をつくっていきたいです。

転職希望者の場合

転職希望者は、これまでの経験を新しい環境でどう活かすかを打ち出します。転職理由を詳しく話すよりも、「どんな保育を目指しているのか」「どんなチームで働きたいのか」を中心にまとめましょう。

  • 書類用例文
    【結論】これまでの経験を生かし、子どもたちの主体性を育む保育を実践したいと考えます。
    【経験】複数担任としてクラス運営に携わり、チームで協力しながら子ども一人ひとりの成長を支えることの意義を実感しました。
    【今後】貴園の異年齢保育に共感しており、これまでの経験を新しい環境でも生かし、園全体の保育の質向上に努めます。

  • 面接用例文
    【結論】これまで担任として積んできた経験をもとに、子どもの主体性を大切にする保育をしていきたいと思います。
    【経験】クラス運営を通して、チームで協力しながら保育をつくることの大切さを改めて感じました。
    【今後】貴園の異年齢で学び合う方針に共感しています。これまでの経験を活かして、子どもの成長を支えながら園に貢献していきたいです。

ブランクありの場合

ブランクがある場合は、「離れていた期間をどう過ごしていたか」と「現場復帰に向けての準備」を伝えます。子育てや家庭で得た学びを、現場でどう活かせるかを前向きに語ると安心感を与えられます。

  • 書類用 例文
    【結論】子育てを通して、改めて保育の仕事の大切さを感じ、もう一度現場で子どもたちの成長を支える仕事に携わりたいと考えています。
    【経験】保護者の立場を経験したことで、子どもを見守る喜びと同時に、家庭と園が協力して関わることの重要性を実感しました。ブランクの間は再就職支援講座で学び直し、保育に関する知識を更新してきました。
    【今後】貴園の「家庭との連携を大切にする保育方針」に共感しています。これまでに得た経験と学びを活かし、子どもと保護者の双方を支えられる保育を実践していきます。

  • 面接用 例文
    【結論】子育てを通して保育の大切さを改めて感じ、もう一度現場で子どもたちと関わりたいと思っています。
    【経験】保護者としての経験を通して、子どもの成長を見守る喜びや、家庭と園が協力することの大切さを実感しました。ブランクの間も研修に通い、今の保育を学び直してきました。
    【今後】貴園のように家庭とのつながりを大切にしながら、一人ひとりに丁寧に関わる保育をしていきたいです。これまでの経験を生かして、子どもと保護者の両方を支えられる保育士を目指します。

異業種からの転職の場合

異業種から保育士を目指す場合は、前職で得たスキルを保育にどう活かせるかを中心にします。人と関わる力、責任感、チームで動く経験など、保育にも通じる要素を的確に示しましょう。また、なぜ保育士を志すようになったのかを、自分の言葉で率直に伝えます。

  • 書類用 例文
    【結論】前職で培ったコミュニケーション力を活かし、子どもや保護者との信頼関係を大切にする保育を実践します。
    【経験】接客業に携わる中で、相手の立場に立って考え、状況に応じた対応を行う力を身につけました。その経験を通して、人の成長を支える仕事にやりがいを感じ、保育の道を志しました。
    【今後】貴園の「子どもの主体性を尊重する保育方針」に共感しております。これまでの社会人経験で培った視点をもとに、職員と協働しながら保育の質の向上に努め、子どもたちが安心して過ごせる保育環境づくりに、チームの一員として貢献します。

  • 面接用 例文
    【結論】前職で身につけたコミュニケーション力を活かして、子どもや保護者との信頼関係を大切にする保育をしていきたいと思います。
    【経験】接客の仕事では、相手の気持ちをくみ取りながら対応することを心がけてきました。その中で、人の成長に関わる仕事に魅力を感じ、保育士を目指すようになりました。
    【今後】貴園のように子どもの主体性を大切にする保育に共感しています。これまでの社会人経験で得た視点を活かし、職員の皆さんと協力しながら、子どもたちが安心して過ごせる環境をつくっていきたいと思います。

保育士になりたい理由・志望動機に関するQ&A

履歴書や面接で志望動機を答える際に、悩みやすいポイントをQ&A形式でまとめました。

Q.志望動機が思いつかないときはどうしたらいい?

まずは、自分が保育に関心を持ったきっかけを思い出しましょう。実習、アルバイト、ボランティア、家庭での子どもとの関わりなど、何かしら印象に残っている出来事があるはずです。「どんなときにやりがいを感じたか」「どんな場面で保育の大切さを感じたか」を書き出すことで、自分らしい志望動機の軸が見えてきます。

Q.「子どもが好き」以外にどう表現すればいい?

「子どもが好き」という気持ちは大切ですが、それだけでは抽象的です。「子どもの成長をそばで支えたい」「子どもの気持ちに寄り添いたい」など、なぜそう思うのかを具体的に説明しましょう。「関わりを通して自分も成長できると感じた」「一人ひとりに合った関わりを工夫したい」など、行動や考えを加えると説得力が高まります。

Q.志望動機は長い方が良い?短い方が良い?

内容が整理されていれば長さは問題ではありませんが、履歴書やエントリーシートでは200〜300字程度が目安です。長くてもポイントがぼやけると伝わりにくくなります。「なぜ保育士を目指すのか」「なぜその園か」「どんな保育をしたいか」を1文ずつ整理し、簡潔にまとめましょう。
面接では1分程度で話せるように準備しておくと安心です。

Q.複数の園に応募するとき、志望動機は使い回していい?

まったく同じ文面を使うのは避けましょう。基礎となる考え方(保育士としての目標)は共通でも、園ごとの特色や理念に合わせて部分的に調整します。「○○保育園では○○な取り組みに共感した」というように、1〜2文だけでも変えましょう。

Q. 自分の経験(アルバイト・実習・ボランティア)を志望動機に入れてもいい?

もちろん大丈夫です。むしろ、自分の考えや姿勢を裏づける具体例として効果的です。ただし、「子どもと遊んで楽しかった」というような感想だけで終わらせず、その経験から何を学び、どう成長したかまで触れるようにしましょう。

Q.園の理念や特色をどう志望動機に盛り込めばいい?

園の理念をそのまま引用するのではなく、自分の言葉に置き換えて説明するのがポイントです。たとえば、「主体性を育てる保育」という理念に共感した場合は、「子どもの考えを大切にしながら一緒に成長を見守りたい」といったように、自分の保育観と結びつけて伝えましょう。

Q.志望動機に「安定した職業だから」といった理由を書いても大丈夫?

安定性を理由にしても問題はありませんが、それだけでは動機が弱く見えてしまいます。「安定した仕事の中で長く子どもたちに関わりたい」「安心して働ける環境で自分の保育を深めたい」など、具体的な目的や姿勢を加えてみましょう。

Q.面接で志望動機を聞かれたとき、書類と同じことを言っていい?

同じ内容でも構いませんが、書類の文章をそのまま暗唱するではなく、話し言葉で自然に話すことを心がけましょう。たとえば、書類では「〜を意識しています」「〜に努めています」といった表現を使うことが多いですが、面接では「〜を大切にしています」「〜するように心がけています」など、柔らかい口調に調整すると自然に聞こえます。

Q.短所や不安な点に触れてもいい?

志望動機の中で短所や不安を中心に話すのは避けましょう。ただし、「苦手を克服したい」「挑戦したい」という前向きな姿勢として触れるのは効果的です。「まだ経験が少ない分、学びながら成長していきたい」というように、ポジティブな言い回しに変えるのがポイントです。

Q.「将来のビジョン」はどの程度書けばいい?

長期的な目標を簡潔に示す程度で十分です。「経験を重ねて信頼される保育士になりたい」「チームで協力しながらより良い保育を目指したい」など、現実的で前向きな表現を意識しましょう。管理職や主任を目指すなど、キャリア志向が強い内容も問題ありませんが、まずは「子どもに寄り添う姿勢」を軸にまとめると好印象です。

Q.志望動機を書くときに避けた方がいい表現は?

「どんな園でも働ければいい」「家から近いから」など、園選びの基準が外的要因に偏る表現は避けましょう。また、抽象的な言葉を並べるよりも、自分の考えを具体的に説明する方が印象に残ります。「頑張ります」「全力で取り組みます」だけではなく、「子どもの気持ちをくみ取って行動できるよう努めます」など、具体的な行動を添えましょう。

Q.転職やブランクがある場合、志望動機はどう工夫すればいい?

転職やブランクがある場合は、過去の理由よりもこれからの意欲を中心に伝えます。「子育てを通して保育の重要性を改めて感じた」「新しい環境で経験を広げたい」など、前向きな言葉に置き換えるのがポイントです。また、「学び直し」「資格の更新」「研修への参加」など、行動の裏づけを加えると説得力が増します。

まとめ

志望動機は、特別な経験や派手な言葉で飾る必要はありません。大切なのは、「なぜ保育の仕事を選んだのか」「子どもとどう関わっていきたいのか」を自分の言葉で整理し、誠実に伝えることです。その中に、自分の経験や価値観、園への共感が込められていれば、それが何よりの説得力になります。書類では構成と整理力、面接では自然な言葉と温かみのある表現を意識しながら、自分らしい志望動機を完成させましょう。
ライクキッズが首都圏を中心に150園以上運営している「にじいろ保育園」では、園見学を受け付けています。保育の現場を実際に見ることは、保育士になりたい理由を再確認することへつながります。志望動機をまとめるうえでも、役立てられるのではないでしょうか。


シェアする

LINE Facebook X

人気のひきだし

ページトップに戻る