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2025.07.02

【2025年最新】保育士のキャリアアップ研修とは?内容・メリット・受講方法を解説

保育士として働く中で、専門性を高めたい、将来的にリーダーや主任を目指したいと考える方は少なくありません。そうしたキャリア形成を支援するのが「保育士等キャリアアップ研修(以下、キャリアアップ研修)です。本記事では、研修の概要や種類、受講のメリット、申し込み方法までをわかりやすくご紹介します。

キャリアアップ研修とは?

キャリアアップ研修とは、保育士の専門性の向上と処遇改善を目的として、厚生労働省の制度に基づき実施されている公的な研修制度です。これは、保育現場において中核的な役割を担う保育士を育成し、保育の質を高めることを目的としています。

研修は、各自治体が実施主体となり、都道府県や政令指定都市ごとに設置された研修機関により開催されます。対象となるのは、保育士として一定期間以上の実務経験を有し、園内でのリーダー的立場を目指す人などで、園長や主任保育士の推薦が必要な場合もあります。

また、キャリアアップ研修の修了は、処遇改善等加算Ⅱ*の対象要件の一つであり、保育士の給与の向上にもつながります。近年はeラーニングやオンライン受講にも対応しており、働きながらでも受講しやすい体制が整えられています。

*こども家庭庁「技能・経験に応じた処遇改善等加算 Ⅱの仕組み」

キャリアアップ研修の種類と内容

キャリアアップ研修は、保育士の専門性を高め、保育の質の向上や職務内容の幅を広げることを目的として設計されています。研修は「専門分野別研修」「マネジメント研修」「保育実践研修」の3区分に分かれ、各分野で実務に即した知識と技術が習得できます。

専門分野別研修

保育の現場において、専門性の向上が求められている6つの分野について学び、自身の理解を深めると共に、「他の保育士にも適切な助言および指導ができる」「実践的な能力を身につける」などを目的としています。

  1. 乳児保育
    乳児期の発達理解、愛着形成、事故予防、安全な保育環境づくりなど、0~3歳未満児を対象とした保育に必要な基礎知識と実践力を習得します。
  2. 幼児教育
    3歳以上の子どもへの教育的アプローチを学び、遊びを通じた学びや非認知能力の育成、年齢に応じた保育計画の立て方などが中心です。
  3. 障害児保育
    発達に特性のある子どもの保育に対する理解を深め、個別支援計画の立案や保護者・関係機関との連携方法、インクルーシブ保育の実践方法などを学びます。
  4. 食育・アレルギー対応
    子どもの健やかな食生活の支援に加え、食物アレルギーへの対応、安全な給食提供、栄養士や調理スタッフとの連携などがテーマです。
  5. 保健衛生・安全対策
    感染症予防や事故防止および怪我への応急処置、災害時の安全確保など、園全体の安全と健康を守るための基礎知識を身につけます。
  6. 保護者支援・子育て支援
    保護者との信頼関係構築、子育てに関する相談対応、地域との連携による子育て支援の方法など、家庭支援の在り方を学びます。

マネジメント研修

自園の円滑な運営や人材育成、働きやすい環境づくり、コミュニケーション力の向上、業務改善の手法など、主任保育士の下でミドルリーダー的役割を担う立場に求められる知識を養います。職員間の連携や役割分担、職場環境の改善に役立つ内容が含まれます。

保育実践研修

経験の少ない保育士やブランクのある潜在保育士向けの研修です。子どもに対する理解を深め、ケーススタディや演習、ロールプレイを通じて、実践的なスキルを身につけます。

各研修は原則20時間以上で構成され、受講修了者には修了証が交付されます。自らのキャリアビジョンや職場での役割に応じて、適切な分野を選択し、ステップアップを目指しましょう。

キャリアアップ研修終了後の役職

キャリアアップ研修の創設に伴い、以下の3つの役職が設定されました。それぞれの受講要件と役職は以下の通りです。

  • 副主任保育士※ライン職
    経験年数概ね7年以上かつ職務分野別リーダーを経験した保育士が、マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了し、副主任保育士としての発令を受けた場合
  • 専門リーダー※スタッフ職
    経験年数概ね7年以上かつ職務分野別リーダーを経験した保育士が、4つ以上の研修を修了し、専門リーダーとしての発令を受けた場合
  • 職務分野別リーダー
    経験年数概ね3年以上の人が、担当する職務分野の研修を修了し、修了した分野について職務別リーダー*としての発令を受けた場合
    *例:乳児保育リーダー、食育・アレルギーリーダー等

キャリアアップ研修を受けるメリット

キャリアアップ研修を受講する最大のメリットは、保育士としての専門性を高めながら、処遇の改善につながる点にあります。厚生労働省が実施する「処遇改善等加算Ⅱ」では、キャリアアップ研修の修了が要件の一つとされています。規定の研修を受講することで「副主任保育士」「専門リーダー」は月額4万円、「職務別リーダー」は月額5千円の処遇改善が加算されます。この金額は必ずしもそのまま上乗せされるわけではありませんが、役職者が増えることで園全体の処遇改善加算が増え、給与アップにつながっていくと想定されます。

キャリアアップ研修は都道府県ごとに実施されますが、修了証は全国共通で活用できます。また、一度取得した資格に有効期限はありません。転居や退職などでブランクができても、再就職の際に活用できます。

キャリアアップ研修の受講方法

キャリアアップ研修を受けるには、各自治体や指定された研修実施機関を通じて申し込む必要があります。

研修の実施主体とスケジュール確認

キャリアアップ研修は都道府県又は都道府県知事の指定した研修実施機関で実施され、年度ごとに研修日程・内容を公表します。詳細は各都道府県のウェブサイトなどで確認できます。

申し込み方法と必要書類

申し込みは基本的に各研修機関のウェブサイトから行います。申請期間が短い場合もあるため、事前の確認が重要です。

オンライン対応と受講費用

近年では、eラーニングやオンライン配信を活用した研修も増えており、働きながらでも受講しやすくなっています。受講料は基本的に無料ですが、教材費や通信費が自己負担となるケースがあります。

申し込みに際しては、自分の勤務先や自治体の最新情報を必ず確認し、早めの準備を心がけましょう。研修は年度内に複数回実施されることが多いため、都合に合わせた選択も可能です。

まとめ

キャリアアップ研修は、保育士として一歩先へ進むための絶好のチャンスです。専門性を高め、リーダーを目指すステップとして活用しましょう。学びを行動につなげて、自信と可能性を広げていきましょう!


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