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保育士のひきだし

2020.09.07

保育士のための借り上げ社宅制度とは?メリットや利用する上での注意点も紹介

近年、さまざまな保育園で導入されている借り上げ社宅制度。そこで、この記事では都心へ上京して保育士として働きたいと考えている方に向けて借り上げ社宅制度についてご紹介いたします。また、借り上げ社宅制度を利用するメリットや利用する上での注意点についても合わせて解説します。

借り上げ社宅制度とは?住宅手当との違いも解説

深刻な保育士不足が深刻化している昨今。そこで政府は、2015年に「保育士宿舎借り上げ支援事業」を立ち上げました。保育士宿舎借り上げ支援事業とは、国や自治体が保育事業に対して、保育士(自治体によっては栄養士や看護師なども含む)の宿舎を借り上げる費用を支給する支援制度です。

保育士宿舎借り上げ支援事業を利用して、保育園側が職員に対して社宅を提供することを一般的に「借り上げ社宅制度」と呼びます。それでは、借り上げ社宅制度の具体的な内容や、住宅手当との違いをチェックしていきましょう。

【参考】

保育士宿舎借り上げ支援事業

厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業の実施について」

借り上げ社宅制度とは「国の支援で職員の家賃を補助する制度」

簡単に言うと、借り上げ社宅制度は「保育園側が国や自治体からの補助金で職員の住居と、家賃の全額もしくは一部を負担する制度」です。現在は、職員の確保や離職の防止対策として、多くの保育事業で取り入れられています。補助金の額は自治体によって異なりますが、家賃の上限額が8万前後に設定されているケースが多いです。家賃の負担額が12割に抑えられるため、通常の一人暮らしよりも家計にゆとりが出ます。

基本的に自己負担額は、給与から天引きされるのが一般的です。自分で不動産者へ家賃を払い込むといった手間もかかりません。初めて一人暮らしをする保育士や、地方から都内への引っ越しを考える保育士にはうれしい制度と言えるでしょう。

【参考】

保育士宿舎借り上げ支援事業

厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業の実施について」

手当として支給される住宅手当とは違う

保育業界の中では、借り上げ社宅制度のほかにも、さまざまな支援が実施されています。「住宅手当」はその代表となる支援です。

【住宅手当の特徴】

  • 基本給とは別に支給される手当
  • 保育園独自の「福利厚生」の一部
  • 職員は自分で物件を選べる(家賃の契約も自身で行う)
  • 敷金・礼金がかかる

住宅手当とは法人の福利厚生の一部で、「基本給とは別に支給される手当」です。毎月給与から定額引き落とされる家賃補助とは異なる支援として位置づけられています。「資格手当」「処遇手当」と同じ並びと考えると分かりやすいかもしれません。

借り上げ社宅制度は国や自治体からの補助制度ですが、住宅手当のほとんどは保育園独自の手当です。そのため、保育園の売り上げや経営方針によって、住宅手当の額は大幅に変化します。転職サイトを見る限り、住宅手当の相場は「月額12万円」です。借り上げ社宅制度よりも金額が下回るケースが多いのですが、その分、職員が自分で物件を選べるというメリットもあります。

ただ、賃貸契約や敷金・礼金などの初期費用がかかるため、出費を抑えたい人はデメリットに感じるかもしれません。とはいえ、中には最大8万円の住宅手当を支給する保育園もあります。転職や就職の際は、事前に住宅手当の支給額をチェックしましょう。

自治体によって補助金額が異なる

借り上げ社宅制度はすべての自治体で行われているわけではありません。実施していない自治体もありますし、自治体によって補助金の額も異なります。

自治体

補助金額

千代田区

最大13万円

足立区

月額上限82000円の7/8

横浜市

月額上限82000円の3/4

藤沢市

月額上限61500

千葉市

月額上限82000円の3/4の額、残りの1/4は事業所負担

さいたま市

・新設園の場合、一戸当たり月額上限8万円の7/8の額

・既設園の場合、一戸当たり月額上限8万円の13/16の額

上記の中でも、千代田区は人材確保のための処遇改善支援として、区内に勤務する保育士の宿舎借上げにかかる経費を上乗せで補助しています。つまり、通常の借り上げ社宅制度に対して、区が独自で補助金をプラスしているのです。

転職や就職を機に一人暮らしを考えている保育士は、保育園がどの自治体から補助を受けているのかをチェックしましょう。もちろん、自治体によって条件や補助する期間などの規定は異なります。補助金額が高いものの、数年しか家賃補助が出ない自治体もあるため、長い目で見て安定した補助金が得られる自治体を選ぶのがポイントです。

【参考】

千代田区

足立区

横浜市

藤沢市

千葉市

さいたま市

保育士が借り上げ社宅制度を用するメリット

借り上げ社宅制度の内容が分かった後は、保育士が借り上げ社宅制度を利用すると具体的にどんなメリットがあるのかを解説します。

敷金礼金などの初期費用がかからない

自治体にもよりますが、基本的に借り上げ社宅制度を取り入れている保育園では、などの初期費用を負担してくれるケースがほとんどです。敷金・礼金などが自己負担となる住宅手当とは違ったメリットと言えるでしょう。

中には更新料や管理費(共益費)も免除される場合もあります。初期費用を抑えたい保育士や、固定費を下げたい保育士にとっては心強いでしょう。

ただ、保育士宿舎借り上げ支援事業を実施している自治体では、敷金が免除されないケースが多いため注意が必要です。実際に渋谷区では、引っ越し費用・礼金が補助の対象ですが、敷金・保証金・仲介手数料、そのほか火災保険料など費用は自己負担と定められています。

敷金や仲介手数料などが自治体から保証されない場合、代わりに負担してくれる保育園もあります。そのため、保育園を選ぶ際は、自治体の制度だけでなく、保育園側の取り組みもチェックしましょう。

割安で都心に住める

通常、都心の家賃は高いため、一人暮らしにあこがれつつ金銭的な問題で実現できない保育士も多いのではないでしょうか。特に、保育士の平均月給は22万円前後で、他業種よりも手取り金額が少ないのが現状です。その中で一人暮らしをする場合、切り詰めた生活を送らなければならないケースもあるでしょう。

しかし、借り上げ社宅制度を利用すれば、月額68万円が実質免除になるため、格安で都心に住めます。月額上限が8万円以上の場合、ハイグレードな物件に住める可能性も高いでしょう。保育園によっては、保育園近辺の物件を借り上げ社宅として指定することもあります。その場合、通勤時間も減ってゆとりのある生活が送れることでしょう。

社宅にかかる賃料が非課税

住宅手当の場合、給与としてカウントされるので、所得税の対象となります。一見、手取り額が増えたように見えても、実際は差し引かれる金額が高くなってしまうのです。一方で、借り上げ社宅制度は国や自治体からの支援であり、保育園側がお金のやり取りを代行してくれるので、保育士自身が税金を負担する必要はありません。住宅手当とは違い、勤務年数や昇進で給与が増えても、差し引き金額が増えないのはうれしいポイントです。

保育士が借り上げ社宅制度を利用するデメリットや注意点

家計への負担を大幅に減らしてくれる借り上げ社宅制度ですが、実は弱点もあります。借り上げ社宅制度を利用する前に、知っておくべきデメリットや注意すべきポイントを解説します。

借り上げ社宅制度では対象者が限られる場合がある

保育士宿舎借り上げ支援事業を取り入れている自治体の多くは、借り上げ社宅の補助の「対象者」を指定しています。たとえば、板橋区では補助対象要件や、対象者が次のように定められています。

【板橋区の補助対象要件】

  • 事業者が宿舎を借り上げていること
  • 制度を利用する職員が申請日には宿舎に入居していること
  • 制度を利用する職員と事業者との間で申請日には入居契約が結ばれていること
  • 宿舎は原則区内であること

【板橋区の補助対象者】

  • 区内にある保育施設に勤務する常勤の保育従事職員

ここで言う「常勤の保育従事職員」とは、1年以上の労働契約期間があり、なおかつ保育施設等において1日6時間以上、月 20 日以上勤務している職員を指します。保育士だけでなく、保育園に常勤として務める保健師や看護師、栄養士や調理師も含みます。

ただし、施設長や経営に携わる法人の役員は除くことがほとんどです。もちろん、対象要件や対象者は、自治体によって異なります。中には保育園に510年務めている職員のみ対象と指定されているケースもあるため、事前に自治体の公式ホームページで確認してみましょう。

【参考】板橋区

入居期間が決まっている

残念ながら、借り上げ社宅制度は永久に利用できるものではありません。自治体によっては、借り上げ社宅に入居できる期間が決まっているケースもあります。たとえば、世田谷区は平成33年度(2021年)3月に保育士等宿舎借上げ支援事業を終了する方針を発表しています。

そのほかの自治体では、「職員が施設に勤務する期間」と定めているものの、補助の対象者を採用から510年の職員としています。つまり、制度自体がいつ廃止されてもおかしくない事実に加えて、勤務歴10年以降の職員は制度を利用できないというデメリットがあるのです。確かに、保育士等宿舎借上げ支援事業は保育従事者を確保するためのプランの一環であり、人手が確保できれば廃止される可能性も大いにありえます。

【参考】世田谷区

物件を自由に選べないことが多い

借り上げ社宅制度では、基本的に職員は保育園側が指定した宿舎(市内、区内のマンションやアパート)に入居します。自分で物件が選べないため、物件選びがしたい人は不自由さを感じるかもしれません。

家賃補助以外のお得な補助金もチェックしよう

自治体の中には、保育士等宿舎借上げ支援事業だけでなく、そのほか保育士向けの補助金を支給しているところもあります。

【補助金の例(※20208月時点)】

  • 杉並区…直近の過去3年間に常勤の保育士として勤務した経験のない、常勤として新規採用された保育士有資格者に5万円分の区内共通商品券を配布
  • 大田区…区内の私立保育園に常勤として6カ月継続勤務している保育士に月額1万円(年に2回、6万円ずつ)を支給
  • 船橋市…正社員、パート問わずフルタイム勤務の保育士の給与に月額42,470円を上乗せ

そのほか、地方から上京する保育士の引っ越し代を負担してくれる保育園もあります。借り上げ社宅制度だけでなく、そのほかの補助金や手当などの支援が充実した自治体・保育園を選びましょう。

【参考】

杉並区

大田区

船橋市

まとめ

借り上げ社宅制度を利用すれば、毎月の固定費を抑えながらの一人暮らしが可能です。家計への負担も少ないので、その分好きなことにお金が使えるでしょう。ただ、補助金の額や対象者は自治体によって異なります。転職・就職の際は事前に保育園が属する自治体と、保育園が独自に行っている支援内容をチェックしましょう。


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