保育士のひきだし
2020.11.25
フルーツバスケットのルール説明!保育士ができる工夫やアレンジルールも紹介
フルーツバスケットは保育園や幼稚園で遊ぶことが多いゲームで、アレンジもしやすい室内遊びの1つです。そこで、この記事ではフルーツバスケットを遊びに取り入れようと考えている保育士の方に向けて、一般的なフルーツバスケットのルールをご紹介いたします。さらに、ルール説明でできる工夫やフルーツバスケットのアレンジルールについても解説します。
フルーツバスケットとは?魅力やねらいを解説
フルーツバスケットは保育園や幼稚園の定番ゲームです。ルールを知る前に、まずはフルーツバスケットの魅力やねらいをチェックしていきましょう。
年齢関係なく遊べる人気の室内遊び
フルーツバスケットは年齢関係なく遊べる人気の室内遊びです。広い空間といすがあればはじめられるゲームなので、主に雨の日や室内での自由遊びの際に行われています。ルールはとても簡単です。子どもをいくつかのグループに分けて、名前を言われたグループが別の席に移動するだけです。「いす取りゲーム」の一種として捉えればイメージしやすいでしょう。フルーツバスケットは2~3歳あたりからはじめられるゲームなので、さまざまな年齢が一緒に遊べます。そのため異年齢保育の現場や、異年齢が同じ空間に集まりやすい延長保育にも最適の遊びです。
フルーツバスケットのねらい
主活動や、実習での部分実習でフルーツバスケットを行う場合は、指導案や日案に「ねらい」を書きます。フルーツバスケットにはどんなねらいがあるのでしょうか?ここでは3つのねらいをピックアップしていきます。
① 友だちと協力して遊ぶ楽しさを体験
フルーツバスケットでは、チームに分かれて席を移動します。チームを分けることで子どもが連帯感を持ったり、年上の子どもが年下の子どもにルールを教えたりするなど、子ども同士の関わりが増えていきます。このように、友だちと協力して遊ぶ楽しさが味わえるのも、フルーツバスケットの大きな魅力であり、ねらいでもあります。
② 考えて行動する学び
フルーツバスケットでは、名前を呼ばれたチームだけが席を移動します。子どもは耳をそばだてて、保育士が発するチーム名を聞かなければなりません。さらに、チーム名が呼ばれた後は、空いている席がどこにあるのかを瞬時にチェックすることになります。このように、聴覚や視覚の情報に頼りながら、自分で考えて行動するのも、子どもの成長に欠かせない要素です。
③ 創造力の育成
フルーツバスケットは子どもの創造力の育成にも有効です。フルーツバスケットは、スタンダードなルールのほか、さまざまなアレンジ方法があります。たとえば、オニ役が席を移動する子どもを指定する際に、「髪の長い子」「青い服を着ている子」「いちごが好きな子」など自由に発言します。「どの子どもを移動させるのか」というお題を考える際、子どもはその場にいる子どもの特徴や、普段の生活の中で思いつく共通点などを瞬時に考えなければなりません。その過程こそが、想像力や発想力を育てるのです。
フルーツバスケットのルールと手順
フルーツバスケットのルールと手順を解説します。フルーツバスケットの基本的なルールと手順は次の通りです。
- いすを円にする
- 子どもたちをグループに分ける
- オニを決めてスタート
- 時間や回数を決めて終える
それぞれの段階における詳しい説明、遊ぶ中でのポイントをご紹介いたします。実習や主活動の担当を控えている方は、今ここでおさらいしておきましょう。
いすを円にする
まずはフルーツバスケットができる環境を作りましょう。子どもの人数よりも1つ少ない数のいすを、円状に配置します。いすは円の内側に向けておきましょう。ゲームが進んでいくうちに、子どもたちが熱中していすが大きく動くこともあるので、安定感のあるいすを選んでください。
子どもたちをグループに分ける
いすが用意できたら、子どもたちを複数のグループに分けます。
【グループ分けの例】
- フルーツ…りんご、いちご、メロン、バナナなど
1つのチームは3~5人程度でOKです。月齢が低い子どもや、ゲームに慣れていない子どもの場合、チームを忘れてしまう可能性があります。名札にイラストを描いたバッジやカード、イラスト入りの王冠などを渡すと、子どもたちのチーム意識も高まりますし、よりゲームがスムーズに進みます。
オニを決める
チームを分けたら、オニを決めます。はじめは保育士が見本としてオニ役となり、子どもたちがルールに慣れてきたら、オニ役の子どもと役を交代しましょう。オニ役を希望する子どもが複数いた場合は、じゃんけんやくじ引きで決めます。1人の子どもがずっとオニをするのではなく、フルーツバスケット中に席に座れなかった子どもがオニ役となり、交代していくのが基本的なルールです。
時間や回数を決めて終える
フルーツバスケットで遊ぶときは、時間や回数をあらかじめ決めておきましょう。遊びが盛り上がると、ついつい子どもたちも気分が盛り上がり「もう1回やろう!」と何度も遊びをせがんでくる場合があります。もちろん、繰り返し遊ぶことで、ゲームに慣れていき、ますます楽しめるというメリットもあります。
しかし、保育園で子どもたちが遊べる時間には限りがあるのを忘れてはいけません。特に、保育実習のときや、保育園に就職したばかりの場合は要注意です。子どもの誘いを断り切れず、何度も遊んでしまい、そのほかの活動時間が削られてしまったり、給食やおやつの時間が遅れたりする可能性があります。子どもたちの生活リズムを崩さないよう、ゲームを開始するときに「〇回やったらおわりね」「時計の針が○○になったらおしまいだからね」と子どもたちに伝えておきましょう。
フルーツバスケットのアレンジルール4選
フルーツバスケットは基本的なルールのほかにも、さまざまなアレンジ方法があります。ここでは、おすすめのアレンジ方法4つをピックアップしてみました。
- フルーツ以外のお題を決める
- なんでもバスケットをする
- いすなしでやってみる
- 子どもたちにルールを考えてもらう
それぞれのアレンジ方法のやり方をチェックしていきましょう。
【アレンジ①】フルーツ以外のお題を決める
ずっとフルーツだけのお題だと、子どもたちも飽きてしまいます。そんなときは、フルーツ以外のお題を決めましょう。
【フルーツ以外のお題の例】
- 色…赤、青、黄色、緑など
- 動物…犬、猫、猿、鳥など
- 食べ物…カレー、オムライス、ラーメン、ハンバーグなど
子どもたちに親しみのあるお題を決めるのがコツです。たとえば、フルーツバスケットの前に、たくさんの動物が登場する絵本を導入として読み聞かせて、フルーツバスケットのお題に取り込むという方法もあります。また、保育室の中にあるアイテムをお題として挙げるのもおすすめです。子どもたちが製作した作品や、クラスの名称(○○組さん)、ぬいぐるみやおもちゃなど、目に付いたものや子どもたちが知っていることを取り上げてみましょう。
【アレンジ②】なんでもバスケットをする
「なんでもバスケット」子どもたちをチームに分けず、オニ役が自由にお題を設定して、該当する子どもだけが席を移動するアレンジ方法です。「なんでもバスケット」を加えることで、ゲームがさらに盛り上がります。
- 半袖を着ている子
- 遊びの中で鬼ごっこが好きな子
- 朝ごはんに納豆を食べた子
- おえかきが好きな子
お題がどんどん変わっていくことで、いい意味で予測ができなくなります。遊びが単調になるのを防げるので、いまいちゲームが盛り上がらなかったときの秘策としても最適です。
【アレンジ③】いすなしでやってみる
フルーツバスケットはいすなしでもできます。外遊びの際は、子どもたちに円を作ってもらい、地面に座ってもらいましょう。遊んでいるうちに円が消えてしまうので、白線を引くか、縄跳びなどで円の形を作っておくと安心です。
【アレンジ④】子どもたちにルールを考えてもらう
年長さんの場合、アレンジ方法や、新しいルールを考えてもらいましょう。保育士は思いつきもしない斬新なルールを思いつくかもしれません。
- 席を移動するときはスローモーションで
- モノマネをしながら移動する
- 手を叩きながら移動する
どうしても案が思い浮かばない際は、上記のようなアレンジを提案してみましょう。
フルーツバスケットのルールを子どもにわかりやすく伝える方法
フルーツバスケットのルールを子どもに教えるのは、なかなか難しい作業です。しかし、ポイントさえ押さえれば、子どもたちに分かりやすく伝えられます。ここでは、保育士がフルーツバスケットを子どもに教える際のコツをご紹介いたします。
絵を使って説明
いくらルールを丁寧に説明しても、視覚的な要素がなければ、子どもたちは理解しにくいでしょう。そこでおすすめなのが、黒板やホワイトボードに絵を描いて説明する方法です。言葉だけでは上手く伝えられない部分も伝わりやすくなるのがメリットです。
保育士が見本でやってみる
その場に保育士が複数人いる場合は、保育士たちでお手本を見せるのも1つの方法です。実際に、子どもの前で保育士たちがフルーツバスケットをすれば、大まかな流れや動きはしっかりと伝えられます。
実際に遊びながら覚えてもらう
口頭や絵での説明をした後や、見本を見せた後は、実際に遊びながら覚えてもらいましょう。説明の後なので、子どもたちのゲームの流れは分かっているはずです。ルールが分からない子どもには個別で教えましょう。
フルーツバスケットをする上での注意
最後に、フルーツバスケットをする上での注意点を解説します。
- 席を移動する際に子ども同士が衝突しないように注意
- 動くタイミングが分からない子どもに声がけ
- 1人の子どもが連続でオニにならないようにする
保育へ取り入れる前にチェックしましょう。
席を移動する際に子ども同士が衝突しないように注意
ゲームが白熱すると、子どもたちの気分が盛り上がってしまい、席を移動する際に子ども同士がぶつかってしまう可能性もあります。ルール説明のときに、「お友だちとぶつからないようにね」としっかり伝えておきましょう。
動くタイミングが分からない子どもに声がけ
子どもの中には、動くタイミングが分からない子どももいます。そんなときは、個別に声をかけてタイミングを教えてあげましょう。
1人の子どもが連続でオニ役にならないようにする
1人の子どもが連続でオニ役になってしまうと、その子どもが「面白くない」と感じてしまいます。連続でオニ役になってしまった場合は、オニ役になりたい子どもと交換するか、くじ引きで決めましょう。
まとめ
フルーツバスケットはさまざまな年齢の子どもが一緒に楽しめるゲームです。アレンジを加えると、よりゲームが盛り上がります。子どもたちの創造性を引き出せるように、適切な援助をしていきましょう。