保育士のひきだし
2020.08.05
マーブリングは子どもに大人気!保育園で手軽に楽しむ方法や使う道具を紹介
「マーブリング」は手軽に楽しめる絵の具遊びとして、子どもたちにも人気があります。そこで、本記事では保育士が保育園でマーブリングをするときに知りたいと思っている詳しい方法や用意する道具をご紹介していきます。また、マーブリングの応用の仕方についてもご紹介いたします。
マーブリングとは水溶液を使った絵の具遊び
マーブリングとは、水をはじく「水溶液」の上に絵の具を垂らして模様を作り、その上に白い画用紙をのせて、水面の模様を写し取る技法です。
マーブリングが生み出されたのは15世紀頃のトルコだと言われていますが、日本でもマーブリングと同じような「墨流し」という技法が昔から親しまれていました。現在のマーブリング文化はどちらの技法から起因するものかは定かではありませんが、古くより親しまれていることには変わりありません。
現在も保育園や幼稚園、小学校のほか、美術系の学校で取り入れられている人気の絵の具遊びです。
【参考】マーブリング – まーぶりんぐ | 武蔵野美術大学 造形ファイル
マーブリングの魅力とねらい
マーブリングをしたことがない人の中には、「マーブリングってどんな魅力があるの?」「保育に取り入れるメリットってあるの?」と疑問を抱く人もいるでしょう。ここでは、マーブリングの魅力や、保育における「ねらい」について解説します。
絵の具で遊びながら個性が表現できる
マーブリングの大きな魅力は、絵の具で遊びながら個性が表現できることです。マーブリングは通常の絵の具遊び(絵を描く、色を塗るなど)とは違い、子ども自身もどんな作品に仕上がるのか予測できません。
マーブリングに使う水溶液は水をはじくため、絵の具が水溶液の水面に浮きます。水溶液を垂らした水面を軽く混ぜれば、水溶液の模様はあっという間に変化します。楕円形や糸状、渦巻き状など、形はさまざま。複数の色を使えば、分離した色がそれぞれ絡み合いながら、何とも幻想的な模様を作り出します。子どもによって、それぞれ異なる個性の作品が作れるため、楽しみの幅も広がるでしょう。
子どもの想像力と創作意力を養う
マーブリングには、子どもの想像力と創作力を養うねらいがあります。偶然できた模様から、「いろんな色があって、お花みたいだね」「丸がいっぱい集まってぶどうみたい」と感じ、子どもが本来持っている想像力がより引き出されます。
また、製作を重ねていくうちに「今度は違う色を合わせてみよう」「水面をもっと混ぜてみよう」という創作意欲もぐんぐんわいてくるでしょう。保育士が子どもの興味や好奇心を受け止めながら、基本の作り方に加えてアレンジ方法などを教えることで、より子どもの感性や芸術性が養われます。
手軽に作れる
手軽に作れるのもマーブリングのメリットの1つです。マーブリングに必要な水溶液は、食器用の中性洗剤に水を加えたもので代用できます。そのほか、画用紙やトレーなども100円ショップで手に入るものばかりです。備品をそろえやすいことに加えて、作り方も水溶液に絵の具を垂らして紙に写し取るだけなので、非常に簡単です。
通常の製作では、子どもによって向き・不向きがあったり、発達段階によってできる子とできない子の差が大きかったりするでしょう。しかし、マーブリングには難しい工程がないため、どんな子どもでも簡単に作れます。
マーブリングを始める前に必要なものをそろえよう!
マーブリングに必要なものは、主に次の7つです。
- 新聞紙
- トレー
- 水
- マーブリング水溶液or洗濯のり
- 絵の具
- マドラー
- 画用紙
それぞれの使い道や購入場所をご紹介いたします。
新聞紙
新聞紙は水溶液や絵の具が滴らないように、トレーの下に敷きます。水溶液表面のホコリを取り除いたりするときにも便利です。また、模様を写し取った画用紙を乾かすときに、画用紙の下に敷くこともできます。新聞紙は廃材ですので、周りの保育士や保護者の方へ持参をお願いすれば、無料で手に入ります。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーやチラシ、古い雑誌などで代用しましょう。
トレー
トレーは水溶液や絵の具を入れるために使います。トレーが深すぎるとも模様を画用紙に写し取る際に、画用紙が取りにくくなってしまうため、浅めのトレーを選びましょう。トレーは100円ショップで手に入ります。ちょうどよい深さのトレーが見つからない場合は、調理用バットを選んでもOKです。コストを抑えたい場合は、生肉などが入っていた発砲トレーをよく洗って代用する方法もあります。
水
水道水でOKです。ゴミやホコリが混ざらないようにチェックしましょう。
マーブリング専用の水溶液or中性洗剤
マーブリング専用の水溶液は、画材屋さんや通販で販売しています。専用の水溶液がない場合は、中性洗剤(食器用洗剤)や洗濯のりで代用することも可能です。中性洗剤や洗濯のりで代用する場合は、原液だけを使用するのではなく、水で薄めましょう。
絵の具
絵の具も100円ショップで手に入ります。種類は「アクリル」を選んでください。子どもたちが好きな色を選べるように、単色ではなく、複数の色を準備しましょう。金箔やラメが入ったものがあると、よりゴージャスな作品ができあがります。
マドラー
マドラーは、水溶液に浮いた絵の具を混ぜる際に使います。マドラーがない場合は、竹串や爪楊枝などで代用してもOKです。
画用紙
基本的に、マーブリングでは白い画用紙を使います。はがきや半紙など、水を吸いやすい素材を使ってもよいでしょう。
マーブリングの作り方!手順ごとに詳しく解説
それでは、マーブリングの作り方を手順ごとに解説します。
まずは新聞紙を敷く
製作を始める前に、トレーの下に新聞紙を敷きましょう。クラス全員で行う場合は、机全体に新聞紙を敷き詰めておくと、汚れたときも安心です。机の近くにぞうきんを置けば、水や水溶液をこぼしたときもすぐに拭き取れます。
トレーに水溶液を入れる
続いてはトレーに水溶液を入れます。専用の水溶液がない場合は、中性洗剤(または洗濯のり)と水を1:1の割合で混ぜましょう。
絵の具と水を混ぜる
アクリル絵の具と水を1:1の割合で絵の具パレットに入れて混ぜます。液状になるまで筆でかき混ぜてください。水が少ないようでしたら継ぎ足しましょう。
トレーに絵の具を垂らして模様を作る
絵の具の筆や割りばしを使って、トレーの水面に液状になった絵の具を垂らします。数滴垂らすだけで大きな模様ができるため、垂らしすぎないように注意しましょう。目安は5~6滴です。複数の色を垂らせば色とりどりの模様ができます。
マドラーで水面を軽く混ぜる
水溶液の水面に絵の具の模様ができたら、マドラーや竹串などで軽く混ぜましょう。混ぜすぎると水面が濁ってしまうため、あくまでも数回、ちょんちょんと優しくつつくように混ぜてください。
画用紙を水面につける
白い画用紙を水面に浮かべて模様を写し取ります。画用紙と水面の間に空気が入らないように、静かに浮かべましょう。画用紙が水面に貼り付いたら、すぐに引き上げます。
画用紙を乾かして完成
最後に、画用紙を新聞紙の上に乗せて乾かします。自然乾燥でもOKですが、ドライヤーを使ったり、日光が当たる場所に置いたりすると、より早く乾きます。乾かすときは、画用紙の表面にホコリやゴミが付かないように注意しましょう。
マーブリングを上手に作るコツ
「マーブリングを作っていたら失敗してしまった」「思ったように上手く作れなかった」そんなことにならないように、マーブリングを上手に作るコツを解説します。
絵の具は3色程度がおすすめ
マーブリングでは複数の色の絵の具を組み合わせると、カラフルになってより美しい作品が完成します。しかし、あまりにもたくさんの色を組み合わせてしまうと、濁ってしまいますし、色同士がけんかして色のバランスが微妙になってしまいます。絵の具は3色程度がおすすめです。
画用紙はそっと素早く引き上げる
水溶液の模様を画用紙に写し取るときは、画用紙を静かに、そして素早く引き上げるのがコツです。引き上げるのが遅いと、画用紙がふやけたり、色が滲んだりする可能性があります。かといって乱暴に引き上げると、画用紙が破れたり、絵の具が垂れたりすることも。画用紙を扱うときは、優しくそっと持ち上げるように注意しましょう。
トレーは大きいものを選ぶと◎
はがきや小さい紙の場合は問題ありませんが、画用紙が大きい場合は、大きいトレーを選びましょう。トレーが小さいと、画用紙が上手く持ち上げられないなんてことも。トレーを購入する場合は、あらかじめ用紙の大きさを測ってから、適切な大きさを選びましょう。
工夫すればもっと楽しい!マーブリングのアレンジ方法
マーブリングの楽しいアレンジ方法をご紹介いたします。「普通のマーブリングは飽きた」「もっとおしゃれな作品が作りたい!」なんてときの参考にしてみてください。
マーブリングの上に手形
模様を写し取った画用紙の上に、手形スタンプを押した作品です。マーブリングの模様が背景になっているため、通常の手形よりもゴージャスな仕上がりになっています。マーブリングを主役にしたい場合は、マーブリングを施した画用紙の裏に鉛筆で子どもの手形をなぞり、鉛筆の線に沿ってはさみでカットして、別の色画用紙に貼るという方法もおすすめです。
立体物にマーブリング
マーブリングの素材は画用紙だけではありません。石や靴、木製のけん玉なども素材として使えます。その中で、子どもが取りかかりやすい素材は「石」です。石を含め、立体的な素材をマーブリングする場合は、そこの深いトレーを用意しましょう。
マーブリングのランタン
マーブリングを施した紙の中に、ペットボトルやキャンドルライト(LEDライト)を入れるだけで、おしゃれなランタンが完成します。4~5歳児クラスなら簡単に作れるため、ぜひ取り入れてみてください。
まとめ
マーブリングは子どもの想像力や創作意欲を養う際に効果的な絵の具遊びです。材料も100円ショップで購入できますし、身の回りのもので代用できるため、手軽に始められます。今回ご紹介したアレンジ方法も参考にして、ぜひ日ごろの保育で試してみてくださいね。