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保育士のひきだし

2020.06.08

保育園で子どもがけが!トラブル回避のため保育士に必要な対応とは

子どもたちのけがは、保育士を悩ませるトラブルの1つです。走って転んだり、遊具から落ちたりと、子どもにはけががつきものとはいえ、保育士の対応によっては子どもの状態が悪化してしまったり、保護者の方とのもめごとが生じてしまうこともあります。

そこで今回は、保育園で子どもがけがをしてしまったときに、保育士がするべき対応を解説します。併せて、子どものけがを未然に防ぐ方法もご紹介いたします。

的確な対応で、さまざまなトラブルを回避していきましょう。

保育園で子どもがけがをするケース

小さな子どもの行動は予測が難しく、思いもよらないタイミングでけがをしてしまうことばかりです。

愛知県小児科医会の調査によると、保育園や幼稚園で起こるけがの種類で最も多いのはすり傷。次いで、鼻血・打撲・切り傷・骨折・やけどという順です。また、けがの発生場所は園庭が最も多く、教室内・階段・通園中と続きます。

【参考】愛知県小児科医会「園で起こりやすいけがと応急処置」

では、子どもたちは一体どんなときにけがをしてしまうのでしょうか。保育園で子どもがけがをしてしまう場面を確認していきましょう。

走り回ってけがをする

元気いっぱいの子どもたちは、走り回ることが大好き。その分、

  • 園庭で追いかけっこをしていて転び、けがをしてしまう
  • 友だちや遊具などにぶつかって、けがをしてしまう

など、遊びの最中に走り回ってけがをするケースが多いのです。

遊具から落ちてしまった

子どもたちに人気の遊具もけがの発生現場になってしまいます。遊んでいる途中不意に落ちてしまいけがをしてしまうケースも多く見られます

  • うんていで手を滑らせて、落下してしまう
  • ブランコに乗っている際に手を放してしまい、落下してしまう
  • すべり台の階段でバランスを崩し、落下してしまう

高さのある遊具から落下すると、骨折してしまうこともあります。

子ども同士のケンカによるけが

保育園で最も起こりやすいケンカは、おもちゃや遊具の取り合い。とくに年齢の小さな子どもは自分の気持ちを言葉でうまく表現することが難しいため、

  • ひっかく
  • かみつく
  • 叩く

などとつい手が出てけがをしてしまいます

【参考】

内閣府「特定教育・保育施設等における事故情報データベース(平成29年12月28日 更新)」

子どもがけがをしたときの対応

では、子どもがけがをしてしまった際、保育士にはどんな対応が求められるのでしょうか。いざというときに迅速に動けるよう、以下のフローチャートを参照し、必要な処置を詳しく確認していきましょう。

【参考】潮見台みどり幼稚園「安全管理マニュアル」

①   応急処置をする

けがをした際の代表的な応急処置に「RICE処置」という方法があります。

  • Rest(レスト/安静に)…けがした部分を安静にして動かさないこと
  • Ice(アイス/冷やす)…ビニール袋に氷を入れたものや保冷剤などで冷やすこと
  • Compression(コンプレッション/圧迫する)…出血や腫れを抑えるため、包帯やテーピングで圧迫すること
  • Elevation(エレベーション/高く上げる)…出血や腫れを抑えるため、けがした部分を心臓より高い位置に保つこと

処置が早いほど、けがをした後の症状を軽く抑えることができ、さらに傷の治癒を早めます。保育園で子どもがけがをした際、的確に動けるように「RICE」を頭に入れておくとよいでしょう。

応急処置後は、子どもの様子をしっかりと観察し、状況に応じて医療機関を受診するなどの必要な処置をしましょう

【参考】公益財団法人日本整形外科学会「応急処置(RICE 処置)」

なお、けがをした際の具体的な応急処置法もいくつか確認しておきましょう。

すり傷

  • 傷を水でよく洗い、ガーゼなどで泥や砂をできる限り取り除く。
  • 砂などが取れない場合は病院へ。
  • 清潔なガーゼなどを使って軽く圧迫し、止血する。
  • 傷パッドなどで傷を覆う。

出血

  • 清潔なハンカチなどで傷を強く圧迫し、止血する。

※ 傷の部分を心臓より高い位置に

  • 傷の部分を心臓より上にあげたまま子どもを水平な場所で寝かせ、10分程度傷を圧迫する。
  • 止血出来たら包帯などで押え、病院へ搬送する。

鼻血

  • 子どもを座らせて頭を前に傾ける。口呼吸させ、10分程度鼻の柔らかい部分をつまんで止血する。
  • 口の中にたまったものを吐き出させる。出血している場合は、さらに10分程度鼻をつまむ。

30分以上出血が続く場合には、病院へ搬送する

  • 出血が止まったら、やわらかいハンカチなどで口や鼻まわりを拭き、しばらく安静な場所で休ませる。

口の外傷

  • 傷の上にガーゼを当て、指でつまんで10分程度圧迫する

※ 顔の下にボールを置いておく

  • 圧迫できない部位の場合、10分以上出血が止まらない場合は病院へ搬送する

頭を打った

  • 静かなところで寝かせ、意識・呼吸・脈拍などを確認する
  • 意識がない・ショック状態のときには救急車を要請
  • 出血がある場合は、ガーゼを当てて強く圧迫し、止血後病院へ
  • 事故の情報(落ちた高さ・打った強さ・地面の硬さなど)を確認
  • 静かに30分以上寝かせる
  • 保護者に頭を打ったことを伝えて、小児科医への受診をすすめる。また、頭を打ってから48時間程度は子どもの様子を観察し、異変を感じたら医療機関を受診する必要がある旨を伝える

【参考】愛知県小児科医会「園で起こりやすいけがと応急処置」

②   園長や主任に報告し指示を仰ぐ

応急処置をしつつ、けがの状況を速やかに園長や主任保育士へ報告し、指示を仰ぎましょう

自分だけで解決しようとすると、大きなトラブルへと発展してしまう可能性もあります。小さなけがであっても、報告・連絡・相談を徹底しましょう。

③   判断:必要に応じて病院へ行く

園長や副主任を交えて急を要するかどうかを判断し、重篤な場合は救急車を、その他必要に応じてかかりつけ医で診てもらうようにしてください。

④   保護者に報告してお詫びする

病院を受診することになった場合だけでなく、けがをした子どもが元気に回復した場合にも、必ず保護者の方へけがの状態を報告します。

報告せずにいると、「どうして先生は何も教えてくれなかったんだろう…」と保護者の方に不信感を抱かせてしまいます。

園で起きたけがや事故は、原則保育園の責任です。けがの大小にかかわらず、けがの発生した原因や状態をきちんと説明し、しっかりお詫びしましょう。

子どものけがを未然に防ぐためのポイント

子どものけがは、できるだけ防いで安全な保育を目指したいものです。

保育園で子どもがけがをする代表的なケースや、実際にけがをしたときに必要な対応を確認したところで、最後にけがを未然に防ぐためのポイントを確認しておきましょう。

けがを起こしやすい場所を特定し改善する

園内の設備は定期的に点検を行い、けがをしやすい危険な場所をしっかりと特定して、必要に応じてその都度改善しておくようにしましょう。

【点検例】

  • 教室内:ロッカーや棚の上に置いてあるものが固定されているか
  • 教室内:壁や床など、破損している箇所がないか
  • 階段:階段に破損部分や死角になる箇所がないか
  • 園庭:危険なものが落ちていないか
  • 園庭:木の剪定がされているか
  • 園庭:柵・外壁・遊具に破損した箇所がないか
  • 園庭:死角になる箇所がないか、など

また、遊具はけがが起こりやすい場所のひとつです。すべり台やうんていなど、危険のある遊具の近くには、常に保育士を配置するなどの工夫をしましょう

ヒヤリハットを共有する

ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ヒヤッとした経験・ハッとした経験のこと。けがを未然に防ぐためには、このヒヤリハットを常に報告し合い、共有することも大切です。

例えば、

  • トイレの床が濡れていて、急いでいた子どもが滑りそうになった
  • 上階にある出入口の鍵が緩んでいて、子どもが外へ出ようとしていた
  • ウサギ小屋のフェンスが壊れていて、飛び出た部分で子どもが手を切りそうになった
  • テラスのちょっとした段差で子どもがつまずいて転んでしまった、など

どんなささいなことであっても日常に潜んでいるリスクを保育士間で常に共有し、安全の意識を高めるようしましょう。

子どもから目を離さないよう注意する

園庭など広い場所で遊ばせる際には、目の前にいる子どもだけでなく、全体に注意を払うようにしましょう。複数の保育士がいる場合には、視点が違う場所で見守りができると危険に気付きやすくなります。

また、話がわかるようになる3歳くらいの子どもには、危険な遊びをしないこと・遊具で安全に遊ぶための注意点などを、しっかりと説明することも大切です。

外部研修などを活用して安全に関する知識を深める

保育施設における安全について知識を深めるために、外部の研修に参加することもおすすめです。

例えば、すでに研修は修了していますが、次のような研修が実施されていました。

公益財団法人児童育成協会/保育安全研修会(研修はすでに修了しています)

専門的な知識を身につけ、日々の安全な保育に活かしていきましょう。

【参考】内閣府「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」

まとめ

子どもの行動は予測が難しく、どれだけ注意していても、すべてのけがを防ぐのは難しいものです。

日頃からヒヤリハットの共有や施設内の点検を徹底することが大切です。そして、子どもがけがしてしまったときに必要な対応をしっかりと頭に入れておきましょう。事前に頭に入れておかないと、いざというときに混乱してしまい迅速に動くことができません。それぞれのけがに応じた的確な応急処置をあらかじめシミュレーションしておくと安心です。

けがの応急処置はもちろん、園長への報告や保護者の方への説明も忘れずに!

また、外部の研修へ積極的に参加し、安全に関する知識を深めておくのもよいでしょう。


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