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保育士のひきだし

2019.09.19

年2回実施される保育士試験。試験内容や受験方法、合格率について紹介

保育士になるために必要な保育士資格。国家資格である保育士資格を取得するためには、2つの方法があります。1つは、保育士養成校に指定された大学や短期大学、専門学校で決められたカリキュラムを受講し卒業する方法。もう1つが、年に2回実施される保育士試験に合格する方法です。

 

保育士試験は働きながらの資格取得も目指せるため、毎年多くの方が受験しています。しかし、難易度が高く合格率が低いと言われていることも特徴の1つです。では、保育士試験は実際にはどのくらいの合格率なのでしょうか?保育士試験受験を検討するときに知っておきたい、試験内容や受験方法とあわせてご紹介いたします。

 

保育士試験の仕組み

 

保育士試験は、誰でも受験できる試験ではありません。受験資格を満たす状態で初めて、受験が可能です。保育士試験の受験資格と、受験の仕組みを見ていきましょう。

 

受験資格

 

保育士試験の受験資格は、最終学歴と勤務経験によって細かく決められています。

 

  • 大学、短期大学卒業

保育士とは関係のない学部、学科であっても受験資格がある。

 

  • 大学在学中、中退

2年以上在学し、62単位以上修得していれば、保育士とは関係のない学部でも受験資格がある。在学中の場合は条件を満たしていなくても受験資格があるが、年度中に条件を満たさなければ一部科目合格が取り消される。

 

  • 短期大学在学中

保育士とは関係のない学科でも受験資格がある。ただし、年度中に卒業できなければ一部科目合格が取り消される。

 

  • 専門学校卒業

学校教育法に基づいた専修学校であり、2年以上の過程を修了していれば、受験資格がある。条件を満たさない場合は、高校卒業の場合と同じ条件が適応される。

 

  • 専門学校在学中

専門学校卒業と同等で、在学中であっても受験資格がある。ただし、年度中に卒業ができなければ、一部科目合格が取り消される。

 

  • 高校卒業

普通科であれば平成3年3月31日以前、保育科であれば平成8年3月31年以前の卒業であれば、受験資格がある。それ以降に卒業している場合は、2年以上かつ2,880時間以上、保育園など規定の児童福祉施設での勤務経験があれば受験資格がある。

 

  • 中学卒業

5年以上かつ7,200時間以上、保育園など規定の児童福祉施設での勤務経験があれば受験資格がある。

 

最終学歴で受験資格を満たしていない場合には、勤務経験によって受験資格を得る必要があります。規定の児童福祉施設は都道府県によっても異なりますので、必ず施設がある都道府県に確認をしましょう。

 

【参考】一般社団法人 全国保育士養成協議会 保育士試験受験資格

 

筆記試験に合格して実技試験が受けられる

 

保育士試験には、2つの段階があります。まずは筆記試験。9つの科目で構成された試験全てに合格する必要があり、難易度が高い試験であると言われています。この筆記試験に合格して初めて、実技試験へと進むことが可能なのです。

 

しかし、1度の筆記試験で9科目全ての科目を合格しなければならないというわけではありません。1度合格した科目については、3年間有効期間が適応されます。

 

例えば、初めての試験で2科目合格した場合には、その後3年間はその2科目については受験を免除されます。1度に合格することが難しいと感じるときには、数科目ずつの合格を目指すという方法もおすすめです。

 

保育士試験合格後、保育士登録が必要

 

保育士試験に合格して保育資格を得られたからと言って、すぐに保育士として働けるわけではありません。保育士として働くためには、各都道府県での保育士登録が必要です。保育士登録を行い、各都道府県知事より保育士証を交付されることで初めて、「保育士」として働くことが認められます。

 

保育士登録の方法を見ていきましょう。

 

  1. 登録事務処理センターより登録の手引きを取り寄せる
  2. 登録の手引きに同封されている振込用紙で、手数料を振り込む
  3. 申請に必要な書類を用意する

(保育士登録申請書・振替払込受付証明書・保育士資格を証明する書類の原本・戸籍謄本)

  1. 申請書類の提出

 

この様な手順となっています。保育士資格を証明する書類は、保育士試験合格通知書を提出しましょう。

 

申請書類が都道府県の審査を通ると、保育士証が交付されます。申請書を提出してから保育士証の交付までは約2カ月かかりますので、就職の際には注意が必要です。

 

【参考】都道府県知事委託 保育士登録機関 登録事務処理センター

 

保育士試験の実施時期

 

 

保育士試験は、前期と後期の2回実施されます。筆記試験は土日の2日間連続で、9科目を2日間に分けて受験します。実施時期について見ていきましょう。

 

前期(4月)

 

保育士試験前期の筆記は、4月の土日に実施されます。2019年の筆記試験は420日、21日の2日間実施されました。実技試験は、630日の日曜日。

2018年は筆記試験が421日、22日。実技試験は71日の日曜日。2017年は筆記試験が422日、23日。実技試験が72日の日曜日でした。

 

毎年、筆記試験は4月の土日。実技試験は筆記試験から約2カ月後の日曜日に実施されています。

 

後期(10月)

 

保育士試験後期の筆記は、10月の土日に実施されます。2019年の筆記試験は、1019日、20日の2日間実施されます。実技試験は128日の日曜日。

 

2018年は、筆記試験が1020日、21日。実技試験は129日でした。前期と同様に、毎年ほぼ同じ時期に実施されています。

 

保育士試験の出題科目

 

保育士試験には、筆記試験と実技試験があります。それぞれの出題科目についてご紹介いたします。

 

筆記試験

 

 

筆記試験は9科目で構成されています。全ての科目において、6割以上が合格のラインです。それぞれの科目について見ていきましょう。

 

保育原理

 

保育の意義と内容や方法を理解しているか、ということを問われる科目です。保育所保育指針における保育の基本や保育の歴史的変換、現状と課題についても出題されます。

 

教育原理

 

教育の意義と目的、児童福祉との関連性や教育制度の基礎を理解しているか、ということを問われる科目です。教育の実践や現状と課題についても出題されます。

 

社会的養護

 

社会的養護の意義と役割について理解しているか、を問われる科目です。社会的養護の歴史的変換や制度、現状と課題についても出題されます。

 

児童家庭福祉

 

現代社会における児童家庭福祉の意義と役割を理解しているか、を問われる科目です。児童家庭福祉の理念や歴史的変換、保育との関連性や現状と課題についても出題されます。

 

社会福祉

 

社会福祉全般に関する理念を理解しているか、を問われる科目です。社会福祉の意義と歴史的変換、制度や動向と課題についても出題されます。

 

保育の心理学

 

保育にかかわる心理学の知識や発達の基本原理を理解しているか、を問われる科目です。子どもの発達理解と家庭支援の心理学、保育における発達援助についても出題されます。

 

子どもの保健

 

子どもの心身の健康と安全に関する知識、子どもの疾病、事故防止のための安全管理についての理解を問う科目です。子どもの健康と発育、精神保健と衛生管理についても出題されます。

 

子どもの食と栄養

 

子どもの食生活や栄養に関する知識、食育の基本と内容を理解しているか、を問われる科目です。健康と食生活の意義、栄養に関する知識と家庭や児童福祉施設における食事についても出題されます。

 

保育実習理論

 

保育全般に関する知識、技術をもとに、子どもの保育と保護者支援を総合的に理解し、実践できる応用力を問う科目です。保育計画と保育内容、保育園以外の児童福祉施設に関する出題もあります。

 

【参考】平成15年12月1日雇児発第1201002号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知 保育士試験出題範囲

 

教育原理と社会的養護は2科目で1教科とされるため、どちらか一方の科目において6割以上を取得しても合格とはなりません。両方の科目において6割以上を取得して初めて、両科目合格となりますので、注意が必要です。

 

実技試験

 

筆記試験に合格して約2カ月後、いよいよ実技試験です。3科目のうち2科目を選択し合格すれば、晴れて保育士資格取得となります、気になる実技試験の科目について見ていきましょう。

 

音楽表現に関する技術

 

 

ギター・ピアノ・アコーディオンのどれかを選び、子どもの前で演奏することを想定して、事前に指定された2曲の課題曲を弾き歌いします。楽譜の持ち込みは可能で、前奏をつけるなどのアレンジもOKです。子どもの前での弾き歌いを想定するという指定がありますので、目の前に子どもがいることを想像して、笑顔で弾き歌いをしましょう。

 

造形表現に関する技術

 

実技試験当日に提示された、保育の一場面を描く試験です。提示されるのは「事例」と「条件」。例えば、2018年前期の問題は、保育園の1歳になった子どもたちのお誕生会で、5歳児クラスの子ども達がプレゼントをあげたり歌をうたったりするなど、楽しく過ごしている様子。という事例でした。

 

それに加えて、お祝いしている様子がわかることやお祝いしている子どもとされている子ども、保育士をそれぞれ1名ずつ描くこと、などの4つの条件が出題されました。その全ての条件を満たすことが求められます。

 

事前の準備ができないため、その場での表現力が問われる試験であると言えるでしょう。

 

言語表現に関する技術

 

3歳児クラス20人程度の子どもの前で話すことを想定して、3分間の素話(すばなし)を行う試験です。テーマとなる物語は事前に指定された4つの中から1つを選び、子どもが集中して聴けるように3分間にまとめます。

 

保育士としての声の出し方や子どもへの話し方、表現力の技術が求められるので、ただ話をするだけではなく「保育士らしい」話し方を意識しましょう。

 

保育士試験の合格率と難易度

 

 

保育士試験は難易度が高く、合格率が低いと言われることの多い試験です。では、実際には、どのくらいの合格率なのでしょうか?

 

厚生労働省の調べによると、2018年の前期と後期をあわせた保育士試験を受けた人の人数は、68,388人。そのうち合格した人の人数は、13,500人でした。2018年の保育士試験合格率は、19.7%という結果です。

 

【参考】厚生労働省 保育士試験の実施状況(平成30年度)

 

同様に、2017年の前期と後期をあわせた保育士試験を受けた人の人数は、全国で62,555人。そのうち合格した人の人数は、13,511人。2017年の保育士試験合格率は21.6%でした。

 

【参考】厚生労働省 保育士試験の実施状況(平成29年度)

 

2015年に厚生労働省が発表した、2005年から2014年までの保育士試験受験者・合格者の推移を見てみても、毎年20%前後。2008年から2010年は12%から15%というさらに低い合格率でした。

 

【参考】厚生労働省 保育士試験の概要 保育士試験の受験者・合格者の推移(過去10年間)

 

保育士試験受験者のうち、約8割の方は不合格という結果から、保育士試験は難易度が高く合格率の低い試験であることがわかります。

 

しかし、決して合格が不可能な試験ではありません。まず必要なのは、自分に合った勉強法を探すこと。独学だけではなく通信教育や通学講座の受講も視野に入れ、自分の生活スタイルに合った勉強法を見つけましょう。

 

また、1度での合格が難しくても、3年間の有効期間を上手に利用して、自分のペースで合格を目指すという方法もあります。

 

まとめ

 

保育士資格取得のために必要な、保育士試験についてご紹介いたしました。まずは、自分がどの時期の保育士試験を目指すのかを決めましょう。腕試しに最短の保育士試験を受験しても良いですし、しっかりと勉強を積んで合格が見えてきてから受けるという方法もあります。

 

目指す保育士試験の時期が決まったら、受験科目を把握し、自分に合った勉強方法で知識を深めていきます。難易度の高い試験だからこそ、合格に向けて得た知識は、保育士になったときに必ず役立ちますよ。


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