保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

まなびのひきだし

2014.10.01

01.養護の働きを積極的にとらえる

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月から毎月、「保育の内容」についての話題を提供していきます。今日のテーマは、「養護」です。「生命の保持」と「情緒の安定」について学びましょう。



保育における養護の働きとは「生命の保持」と「情緒の安定」ということを指しています。保育指針では、保育所の保育の目標の基本的なものとして、「十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。」とされています。「生命の保持」とは健康安全に子どもが生活できるようにすることです。「情緒の安定」とは子どもが落ち着いて過ごせるようにし、さらに自己肯定感を抱けるようにすることです。

そのために何より大切なことは保育所を安全に配慮しつつ、子どもがくつろいで日々の生活を過ごせるようにすることです。そのために保育者が子どもを受け入れ、ここにいてよいのだと実感できるようにしていく姿勢が大切になります。



さらにこういったことに心がけてほしいのです。一つは、生命の保持を子ども自らが実施できていくようにしていくことです。例えば、暑くなったら薄着になり、汗をかいたら着替えたり、体を拭いたりする。寒さを感じたら一枚羽織るなどは自立して生活するのに不可欠なことですが、子どもは案外そのことに気づきません。生活習慣の自立とはそういったことを自分で出来るようにしていくことです。排泄をしたくなったら、自分からトイレに行くので、誰かが面倒を見てくれるまで待っている必要がなくなります。

ただ、その自立の過程はすぐに片付くわけではなく、数ヶ月から数年を要するものです。その間、辛抱強く対応し、少しずつ支援を重ねていくのが保育の仕事です。そのわずかずつの進歩を見極め、いらだつこともなく、放置するのでもなくて、そのステップごとの支援の手立てを工夫できるのが専門性というものです。

時に安全を考慮するあまり、危険な環境を一切除いてしまうことに気がいってしまうことがあります。例えば、保育所の中で段差をまるでなくせば、確かにつまずいて転ぶことは減るでしょう。しかし、それでは、段差に注意したり、それを越えていくスキルは身につきません。巧みな身のこなしはそういった障害が用意されている中で生活し遊ぶからこそ身についていきます。



情緒の安定もまずは保育者が子どもの気持ちを受け止め、自分のままでいることを認め、時に抱きしめてやることで生まれてきます。子どものうまく言葉に出来ない思いを感じ取り、表情やうなずきや手を添えることで応対することが安心を作り出します。

その上で情緒の育ちを図っていきます。まずは子どもの様々な感情の表出を認め、助けていきます。喜んだり、怒ったり、悲しんだりすることが子どものまさに人間の始まりとしての特徴です。そこから生きるエネルギーが湧いてくるのです。

しかし、大人とのやりとりや周りの子ども達と一緒に遊ぶ中で、次第に、感情を鎮めたり、穏やかにしていくことを学んでいきます。かんしゃくを起こすだけではなく、どうすれば自分のやりたいことを実現できるだろうかを考えるようになるからです。積み木の取り合いで取った相手を叩くより、一緒に遊ぼうとか、半分に分けようと折り合いをつけるようになるのです。それは感情を抑えつけて、感じないようにすることではなく、感情を感じながらも、それで気持ちに圧倒されないようにすることなのです。

否定的な感情を感じることは大事なことです。悲しいものは悲しいのです。ですが、そこで自分から気分転換をして、切り替えつつ楽しいことに注意を向けられるのも大事な発達です。機嫌良く過ごせるというのは社会人としての大事な力であり、習慣だからです。

必要なら自分を励ましたりできるのは4歳5歳の頃の大事な発達的特徴です。積み木を高く積みたいと思っても、途中で大変なのでめげてしまいそうになる。それをもっと頑張ろう、やろうと思ったのだからと自分に言い聞かせるようになります。

このように、「養護」とされていることは保育者が配慮し、子どもを受け入れることから始まりますが、次第に子ども自身が養護的配慮を自分で出来るように成長していくものであり、そこを保育者が支援することでもあるのです。

■保育所保育指針 第3章 保育の内容
1 保育のねらい及び内容
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(一)養護に関わるねらい及び内容
ア.生命の保持
ねらい
① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
② 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
イ.情緒の安定
ねらい
① 一人一人の子どもが、安定感を持って過ごせるようにする。
② 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
③ 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。
④ 一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。
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いかがでしたか? 次回のテーマは、「保育の内容」の「健康」を予定しています。それではまた来月。

 

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監修者

無藤 隆

白梅学園大学教授
内閣府子ども・子育て会議会長
当社保育アドバイザー

略歴
東京大学 教育学部教育心理学科、東京大学大学院教育学研究科博課程、聖心女子大学・お茶の水女子大学教授を経て、2005年より現任
専門
幼児教育 発達心理学
著作
「幼児教育のデザイン: 保育の生態学(東京大学出版社)」(2013)、「学研ことばえじてん(学研)」(2013)他多数

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