保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

まなびのひきだし

2016.05.11

20.乳幼児期の発達の特徴(その2)

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「乳幼児期の発達の特徴(その2)」です。

今回は前回に引き続き、乳幼児期の発達の特徴を考えてみましょう。保育所保育指針の乳幼児期の発達の特性の二番目と三番目のあり方を取り上げます。

(2)子どもは、子どもを取り巻く環境に主体的に関わることにより、心身の発達が促される。

子どもを取り巻く環境とは身近の手の届くところにあるものという意味です。年齢が上がるに連れて、見るもの・聞くものも理解できるようになりますが、小さい内は実際に触れ、動かし、その結果を感じられるものが大事です。

0歳のまだ歩けない内なら、がらがらを手にとって振るとか、多少動けるようになると、見えているものにハイハイで近づき、いじることもできます。そのように手を使い、足を使い、体のいろいろな感覚で感じ取り、対象となるものの変化を自らが引き起こし、その結果としての変化が分かることを「関わる」と呼んでいます。

主体的にというあり方の下で関わるとしていますが、この主体的とは子どもが自発的にまた意欲を持って能動的に、つまりは子どもの心身のエネルギーをいっぱいにして、物事に関与し、その活動を発展させていく様子を指しています。とはいえ、最初からいきなり大人のように自分の頭でしっかりと考えて、どうすべきかを判断して関わるというはずもありません。それに向けて長い発達が必要であり、乳幼児期はその始まりにあります。むしろ主体的になっていく時期であり、それを助けるということが保育です。とはいえ、まずは能力を身に付けるとかスキルを与えてとか、やり方の指示を事細かく示してということではなく、小さい子どもだからこそむしろまずやりたいと思う気持ちが動き出すことがかなめになります。
その環境がその主体的になろうとする子どもの意欲と動きを誘い出します。それに惹かれて、子どもが何かをやり始め、その対象の変化や感覚の面白さに気づいて、さらにその活動を進めていくようになります。それを目指して、身近な環境を整えるのです。
そのように子どもが懸命に関わると、そこから自ずと子どもの心身の発達が進みます。その年齢にふさわしい子どもの発達の促し方があるのですが、まずは子どもが夢中になるような活動を可能にすることが肝腎です。そこに向けて、誘い出す環境を用意します。

(3)子どもは、大人との信頼関係を基にして、子ども同士の関係を持つようになる。この相互の関わりを通じて、身体的な発達及び知的な発達とともに、情緒的、社会的及び道徳的な発達が促される。

環境には物と人の双方が含まれますが、とりわけ人は生まれたときから社会的な関係の中にあり、人との結びつきを求めるものです。
 子どもは乳児でも他の同年代の子どもへの関心があるのですが、とはいえ、実際に関わり合うのは簡単ではありません。ちょっとした目が合い、ものを渡す程度ならともかく、それ以上にやりとりが続くためにはしばしば大人の支えが必要です。
 そもそも子どもの気持ちが落ち着いて安心してその場にいられるからこそ、子どもの気持ちは外に向かい、周りに何があり、どうすれば面白くなりそうかという関心が向かいます。子どもの気持ちの安定はまず大人がどうそこに関わるかによって形成されます。


とりわけ保育所は最初は知らない人がいる場であり、最も身近な愛着の対象である親から離れた場です。泣きじゃくらないまでも、子どもの心には不安があるものです。それを癒やすのは何より大人と眼があったときに、大人がほほえんでくれることです。それが安心してよいんだよという無言のメッセージを伝えます。また子どもが困ったときにいつでも対応するという姿勢でそばにいたり、あるいは様子を見て、駆けつけることが安心感を育てます。
子ども同士の関係は少しずつ年齢に応じて生まれていきます。それはいきなり仲良くするというものよりは、環境に置かれた何かに関わり、そこで遊び出すことが他の子どもを巻き込み始めたり、また逆に他の子どもが遊んでいることに面白そうに感じて入り始めるあたりから始まります。一緒に遊ぶという関係が成り立つことです。
 それは相互的であり、やりとりであるということです。それは次第にやりとりがないときでも相手のことを気に掛け、配慮し、気遣うようになり、それが友達関係となっていきます。
 そこから子どもの発達が促されます。子どもが発達することはすべての環境の中で起きることであり、また生き物として成長していく元々の力を備えています。とはいえ、適切な環境があってこそ、子どもの発達は最小にとどまらず、高まっていくのです。

その発達はどこを明確に区切られるものではありませんが、身体的な面、知的な面、情緒的な面、社会的な面、道徳的な面などと分けることもできます。身体とは運動するということですが、その細かい手や指の動かし方も含みます。知的とは学校教育としての教化の学習という遙か以前のその土台となる部分です。子どもが考えたり、工夫したり、見通しを立てたりというのは乳児期であっても、実は始まりが起きているのです。
情緒面とは感情の育ちのことです。喜怒哀楽を存分に経験しつつ、肯定的な感情が増していき、また感情が高ぶったのを自分でほどほどのなだめる力が育ちます。社会性とは人への関心であり、大人や子どもへの関わりを通しての人間関係の育ちです。道徳とは、善悪の明確な区別以前に、こうすることがよいとかよくないとか、自分にも相手にもその気持ちに配慮し思いやるとか、守るべきルールやマナーを分かって、守るように努めるという芽生えを指しています。

いかがでしたか?次回のテーマは、「乳幼児期の発達の特徴(その3)」を予定しています。それではまた来月

 


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