保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

まなびのひきだし

2016.02.03

17.体験の関連性とは

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「体験の関連性とは」です。

■幼稚園教育要領の第3章では指導計画作成上の留意事項が記載されていますが、これは保育所で参考にするべきものです。その中に体験の関連性に関わるところがあります。
「幼児が様々な人やものとのかかわりを通して、多様な体験をし、心身の調和のとれた発達を促すようにしていくこと。その際、心が動かされる体験が次の活動を生み出すことを考慮し、一つ一つの体験が相互に結び付き、幼稚園生活が充実するようにすること。」
この簡単な記述は保育所の保育の基本を示すものでもありますし、指導計画の作り方のポイントを示してもいます。

■一つは、子どもが様々な人やものへの関わりを通して発達していくということです。それは保育指針の総則の初めに書いていることでもあり、環境を通しての保育の大原則です。まずは子どもが主体であるということです。子どもが自ら動き出すことによって子どもの心身が活発に動き、そこから発達が成り立っていきます。それは子どもの体が動き、心と頭が躍動するからです。その躍動とは何もないところでは起こりません。面白そうなものや人があって、そことの交渉が起こることによってです。その交渉から物事が生じて、変化していきます。例えば、砂場で砂に手を触れて、さらに砂を握り、それを脇に置くと、その後は小さな穴があります。さらにその穴から砂を掘り出し、横に置くと、穴が深くなります。そうしているとふと、横に置いた砂が山をなしていることに気づきます。このようにして、初めて砂場に入った2歳の子どもが砂場の遊びの楽しさに目覚めるのです。
■ですから、関わるとは単に周りにものや人があるというだけではなく、そこでやりとりが生じて、新たな出来事が起こることであり、対象となる人や物に変化が生じて、それが子どもの側で感じられることです。関わりを言い換えれば、相互作用であり、やりとりであるのです。そこで対象が変化するとはそれに応じて、自分も少し変わることでもあります。何かに気づき、おもしろさを感じ、興奮し、さらに先をやってみたいと思います。砂場の例で言えば、先ほどの平らな砂地に穴ができて、山が生まれる。しかもそれは自分が手を下して、その結果として起きたことなのです。

■次に「多様な体験」とあり、「心身の調和の取れた発達を促す」とあります。小さい時期の子どもは一つの活動をしても、そこで様々なことを感じ、考えるのです。例えば、砂場の例で見ると、そこで子どもはどういうことを経験しているのでしょうか。子どもの内面に生じているものは何でしょう。初めて砂場に入った子どもだとすれば、おそらく砂という素材の独自の感触に目覚めるでしょう。固いもののような柔らかいもののような、固まるのだけれどすぐにほどけてしまう。固めれば固いが、崩すこともできるし、小さい粒になり、息で飛ばすことさえできる。容易に穴が掘れるが、その取り出したものは山をなして積まれる。水でも固体でもないような不思議なものです。その感触と独自のあり方をするものを知ることになります。それは独自の感性的経験ですが、同時に、この周りの環境にいくらでもある一つのものを認識する始まりでもあります。
さらに、それは穴を掘るとか山を築くということの作業をできる素材でもあり、一度それに気づくと、いくらでも穴を掘り、山を作ることでしょう。それは次第に造形表現に近づきます。
おもしろさを感じると、何度も試すことでしょう。もっと深い穴を掘り、それがうまくいかないと、少し広めに掘ったりもして、工夫をすることでしょう。どうすれば高い山にできるか、挑戦をするようにもなります。
 そこで、誰か上手にやっている年長の子どものやり方を見て、まねすることもあります。ほかの同じ年齢の子どもと一緒にも遊びを開始して、一緒に掘ったりすれば、穴はもっと大きなものにできます。
■このようにして、保育内容で言えば、いろいろな領域に関係していることになります。だからこそ、それらが多様であると当時に、調和の取れた発達につながるのです。一つの活動の多様な体験の面に配慮していけば、自ずと偏りがなくなり、調和が取れるようになるのです。
その上で、その体験が次へと発展し、つながるように配慮していきます。たった1回の体験が子どもを成長させるなど滅多にありません。そうではなく、日々の多数の活動があり、そこでいろいろな体験をしていて、それがつながっていって、育ちとなっていくのです。そういった育ちの筋道を作り出すためには、一つの体験があって、そこでそのままにしておくのではなく、それがつながり、発展するような次の体験ができるように、活動を可能にするのです。そのための素材を用意したり、保育者が対話して、方向付けできます。
それは指示により子どもを動かしてというわけにはいきません。子どもを砂場に連れて行くことはできても、あるいは穴を掘ったら、と示唆はできても、子どもがそれ以上におもしろがって、もっとやりたくなり、工夫し、挑戦するかどうかは子どもの側のことだからです。そういった気持ちが起こることを「心が動かされる」と呼んでいます。その心が動くような体験だからこそ、それをもっとやりたいと子どもが思います。そして、次の日に例えば砂場に行って、穴を掘り出すでしょう。同じことを日々できるようにしておく環境が大事なのはそのためです。ですが、それだけだとすぐに子どもは行き詰まります。どうやってもある高さ以上の山を築けないかもしれません。そこで固めるやり方をしている年長の子どもと一緒になるようにするとか、保育者が一緒に遊びながら、ちょっとだけ砂をたたいて、「ほら、固くなったね」と誘ってみるとか、子どもがたまたま踏んだところの砂が硬いところに保育者が気づかせるとか、いろいろな手立てが可能です。

■子ども自身がこういうことをしたいと言い出すこともあります。そうしたらその活動をやらせてあげればいいのです。予定になかったなどといわずに、指導計画を柔軟に変更していきます。でも、同時に、その活動をただやらせるのではなく、以前の子どもの心動いた体験の発展になるように、活動を一歩深め、また以前とのつながりに子どもが気づくように、ヒントを出します。

一つ一つの体験が相互に結びつき、育ちの筋としての流れが生まれるのです。そういった流れにつながる体験の心の動きを「学び」と呼ぶのです。

いかがでしたか?次回のテーマは、「環境の構成の仕方」を予定しています。それではまた来月

 


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