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保育士のひきだし

2019.07.17

【増え続ける潜在保育士】現場に復帰しない理由や復帰するための手段とは

保育士資格は持っているけれど、保育士としては働いていない人を潜在保育士と呼びます。その数は全国に約80万人

 

保育士に復帰しない理由は人それぞれです。しかし、せっかく取得した保育士資格。本当は現場に復帰したい、保育士資格を活かして働きたい、と悩んでいる人も少なくありません。

 

保育士復帰をしない理由。そして復帰を目指す方へ、保育士としての働き方の選択肢や保育士資格を活かせる働き方をご紹介いたします。

 

潜在保育士とは

 まずは潜在保育士とは、どんな状況の人なのかを見ていきましょう。

 

保育士資格はあるが保育士として働いていない人

 潜在保育士とは、保育士資格を持っているけれど現在は保育士として働いていない人です。保育士資格を取得してから一度も保育士として働いたことのない人。以前は保育士として働いていたけれど、現在は保育士の仕事から離れている人、この両方を潜在保育士と呼びます。

 

保育士不足が騒がれている中、潜在保育士が保育士復帰をするために、自治体による研修会の開催などさまざまな政策が進められています。

 

全国に約80万人

 潜在保育士は全国に約80万人いると言われています。保育士登録者数は約120万人、勤務者数約40万人ですので、実際に保育士として働く人は保育士資格保有者の約3分の1という結果です

 

保育士が常に求められ多くの求人が出回っている中で、これだけの人が潜在保育士になっているという結果から、保育士として復帰しない、復帰できない大きな理由があることが見えてきます。

 

【参考】厚生労働省 保育士等に関する関係資料

 

保育士をやめるきっかけ

 以前は保育士として働いていたけれど、現在は潜在保育士となっているという人の場合、保育士をやめる何らかの理由があります。そのきっかけを見ていきましょう。

 

結婚・出産・育児

 

 

働く女性が増えてきましたが、やはり結婚や出産を機に仕事をやめるという女性は少なくありません。育休後、職場復帰を考えていたけれど、育児の大変さに復帰を諦めることも。保育士は女性が中心の仕事ですので、これらの理由がきっかけで退職する人が多いのです。

 

厚生労働省委託事業として作成された「潜在保育士ガイドブック」によると、潜在保育士が保育士を離職した理由は、20代が賃金と結婚・出産、30代・40代・50代が育児や介護などの家庭との両立という結果でした。

 

子どもが好きで保育士の仕事に就く人が多いので、自分の子どもは自分で見たいと考える人が多いという理由もあります

 

【参考】厚生労働省委託事業 潜在保育士ガイドブック 潜在保育士調査のまとめ

 

給与の低さ

 保育士は仕事内容に比べて給与が低いと言われることが多くあります。東京都福祉保健局が行った「東京都保育士実態調査」によると、退職理由として最も多いのが「妊娠・出産」。次いで「給与が低い」という理由でした。現在は保育士として働いているけれど、退職を考えている人の退職意向理由としては、「給与が低い」が断トツで多いという結果に。

 

保育士として実際に働く中で、仕事量に給与が見合っていない、給与が低いという不満を抱え、退職を決意する人も多いようです。

 

【参考】東京都福祉保健局 東京都保育士実態調査報告書 

 

職場の人間関係

職場の人間関係も、保育士の悩みとして多くあがります。東京都保育士実態調査においての退職理由としては、「給与の低さ」に次いで多いという結果でした。

 

人間関係は、働き始めないと分かりません。人との関わりですので、一度こじれてしまうと改善が難しい状況も。

 

人間関係は仕事や自分の体調にも影響しますので、改善の見込みがなく退職を選ぶ人も少なくありません。

 

【参考】東京都福祉保健局 東京都保育士実態調査報告書 

 

保育士に復帰しない理由

さまざまな理由があり、保育園を退職。その後、他の保育園に転職するという道を選ぶ人もいます。もしくは子育てが落ち着いてから復職するという方法も。しかし、潜在保育士となる人は、退職後に復帰することなく保育士の仕事から離れてしまいます。なぜ保育士として復帰しないのか、復帰しない理由を解説いたします。

 

待遇面が合わない

 

 

給与の低さで退職する人の多い保育士の仕事。しばらくして復帰しようと考えても、給与面などの待遇が合わずに諦めてしまうことも少なくありません。

 

「潜在保育士ガイドブック」によると、20代の潜在保育士が職場環境においての就業への不安要素として多くあげている理由が賃金面でした。

 

給与などの待遇面が自分の希望に見合っていないと、仕事へのモチベーションが上がりません。また、給与額は生活に直結しますので、復帰をためらうという理由もあります。

 

【参考】厚生労働省委託事業 潜在保育士ガイドブック 潜在保育士調査のまとめ

 

子育てとの両立が難しい

保育士は自分の子どもを自分で見たいという思いもありますが、それ以上に仕事量の多さによる残業や持ち帰り仕事で現実的に子育てとの両立が難しいという面もあります。

 

「潜在保育士ガイドブック」でも、子育て世代である30代、40代の人は、就業での個人的な不安要素を家庭との両立。職場環境においては、勤務時間をあげています。勤務時間が長いことによって、家庭や子育てとの両立が難しいという現実があるのです。

 

【参考】厚生労働省委託事業 潜在保育士ガイドブック 潜在保育士調査のまとめ

 

休暇が少ない

保育園は土曜日も開園しているところがほとんどですので、基本的には土曜出勤をしたら平日に振替休暇を取得することで週2日の休暇を確保します。しかし、行事があったり人手不足で、振替休暇が取得しづらいこともあります。

 

「東京都保育士実態調査」によると、週当たりの勤務日数「6日以上」と答えた人が正社員では約30%という結果でした。週に6日以上働いているということは週休1日。もしくは休みなしということです。

 

また、人が足りなくて有休や夏の休暇が取得できないという状況もあります。日々忙しい保育士の仕事。さらに休暇も取れないと、プライベートな時間を確保できません。休暇が少なく、理想的なワークライフバランスを実現しにくいことも、潜在保育士が復帰しない理由の1つです

 

【参考】東京都福祉保健局 東京都保育士実態調査報告書 

 

健康や体力への不安

 

 

子どもを抱っこしたり、一緒に走りまわったりと保育士は体力勝負の仕事です。また、忙しい毎日の中で健康管理が難しい仕事でもあります。

そんな体力面や健康への不安から、職場復帰をためらう人も少なくありません。「潜在保育士ガイドブック」では、20代から40代ではあがらなかった、自身の健康体力が50代・60代では就業への不安要素としてあがっています

 

年齢を重ねて体力の衰えを感じる、体調を崩しやすくなった、と実感する中で、子育てがひと段落してからも保育士復帰に踏み切れないという実態があります。

 

【参考】厚生労働省委託事業 潜在保育士ガイドブック 潜在保育士調査のまとめ

 

理想の仕事とのギャップ

保育士は、子どもが好きで目指す人がほとんどです。子どもとの関わりを仕事にしたいと考えているのですよね。しかし、実際に働き始めると、子どもとの関わり以外の仕事がたくさんあります。

 

事務仕事や環境整備など、全てが大事な仕事ではありますが、自分が理想としていた仕事とのギャップを感じることも。「東京都保育士実態調査」においても、保育士として働いている人の職場への改善希望点は、「給与の改善」「職員の増員」に次いで「事務、雑務の軽減」という結果でした。

 

保育士として働いた経験があり、保育士の仕事について理解しているからこそ、理想の働き方とのギャップから現場復帰をしない人も多いのです。

 

【参考】東京都福祉保健局 東京都保育士実態調査報告書 

 

保育士の資格を活かした働き方

正社員として保育園への仕事復帰をすることは難しい。しかし、せっかく取得した保育士資格を活かした働き方をしたいという方へ。保育園で正社員として働くことだけが、保育士としての働き方ではありません

 

保育士資格を活かして、無理なく働ける働き方を見ていきましょう。

 

短時間のパート勤務や派遣

保育園では、正社員だけではなくパート勤務や派遣社員などさまざまな働き方があります。例えば、早朝保育や延長保育の時間帯。パート保育士がいてくれることで、正社員を日中の保育時間に充実させることができます。早朝や延長保育だけではなく、日中の忙しい時間帯にも、短時間のパート保育士がいてくれると大きな助けとなるのです。

 

そのような理由から、多くの保育園で、パート保育士を雇い入れています。短時間の勤務ならば身体への負担が少なく、体力面に不安を抱えていても挑戦しやすいですよ

 

また、正社員ではなく派遣社員として働くという方法もあります。派遣社員は、派遣会社の所属ですので、基本的には残業や持ち帰り仕事がありません。残業がある場合には、必ず残業代が支給されます。正社員として仕事量や残業の多さに悩まされていた方にとっては、良い働き方であると言えますね。

 

パート勤務や派遣社員は、正社員と比べると事務仕事が少ないというメリットもあります。環境整備などの雑務は行いますが、子どもとの関わりが中心です。パートや派遣社員として働くことで、保育士として理想の働き方を見つけられたという人も少なくありません。

 

院内保育室

院内保育とは、病院内や近隣に設置されている保育室で、病院で働く看護師や医師等が利用します。一般の保育園と比べて利用定員が少ない場合が多く、子どもとじっくりと関わることができるので保育士からの人気が高まっています。

 

保育士としてのブランクが長くても、小人数の子どもたちを相手にするので、ゆっくりと仕事に慣れていくというメリットも。夜勤がある保育室もあるので、自分の生活スタイルに合った職場を選びましょう。

 

ベビーシッター

 

 

ベビーシッターは保育園とは違い、お客様の自宅で11で子どものお世話をします。職場の人間関係が理由で退職した、体力的に大人数の子どもと関わる自信がない、という方にとっては理想の環境ですね。

 

保育士資格は必須ではありませんが、資格を持っているとお客様からの信頼も厚く、多くの依頼を受けやすいという点も。保育士資格を活かして子どもと関わる仕事がしたいけど保育園で働くことは難しい、という方におすすめの職業です。

 

学童保育所

共働きなどの理由で保護者が日中自宅にいない小学生が、放課後を過ごす学童保育所。遊んだり宿題をしたりと、小学生の放課後の生活の場として大切な施設です。

 

そんな学童保育所に必要なのが、児童の安全を見守る指導員。無資格でも働くことが可能ですが、各学童保育所に必ず2人以上は学童保育のプロである「放課後児童支援員」を配置することとされています。

 

放課後児童支援員とは、2015年に誕生した学童保育のための専門資格です。定められた条件を有する人が研修を受けることで取得できます。

 

その条件の1つが保育士資格の保有。保育士資格を持っている人は研修を受講し、放課後児童支援員の資格を取得できるのです

 

小学生との関わりは、乳幼児の関わりとは違った楽しさややりがいがあります。保育士資格を活かして保育園以外の場所で働いてみたい、という方は資格取得を目指すことも選択肢の1つです。

 

まとめ

 潜在保育士の増加は、家庭との両立の難しさや給与などの待遇面への不満など、さまざまな要因があります。しかし、全ての保育園が同じ条件ではありません。中には家庭との両立を支援する制度を整えている園や給与面の待遇を充実させている園もあります

 

「もう一度、子どもと関わる仕事がしたい」と感じたときが、現場復帰するチャンス。働き方は正社員に限る必要はありません。自分に合った働き方を自由に選ぶことが可能なのです。保育園以外にも、保育士資格を活かして働ける職業や職場はあります。1つの働き方に縛られずに、自分に合った働き方を見つけてくださいね。


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