保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

2026.10.22

遊びが繰り返される中で微妙な違いに反応し、そこに豊かな学びが生まれる

 幼児が園で遊ぶ。そこで何かに興味を感じて、それをさらに追及するでしょう。ただ、多くの場合、それは一時的な興味です。それが意味のある学びとなっていくには、その遊びを繰り返し、発展していく必要があります。そうなってこそ、その興味がある事柄の意味が次第に把握されるだけでなく、いろいろな場合にもつながることだと分かって、意味ある知識の始まりとなっていくのです。多くの子どもの気づきや工夫はその場だけのことで、その遊びがさらに続き、繰り返され、またその遊びに立ち戻ることがあって、気づきや工夫が広がり、さらに深まるのです。

 では、保育者が指示して、同じことを何度もやらせれば、その気づきや工夫は定着するのでしょうか。そこに小学校と幼児期の教育の決定的な違いがあります。
 小学校ならば、算数の計算手順のように一定のやり方で実施することで有益な理解や手続きを学ぶようにして、その後の学習の基礎を育てます。それが教科教育の持つ大事な柱になります。教科教育とはもちろんそれだけのことではなく、例えば、数の世界の特質を知ることやそれを探る面白さを感じることを大事にしています。とはいえ、基礎的な知識と手順に習熟することも必要ではあります。
 でも、幼児期の学びはそのように分野毎に分かれて、国語とか算数とかになっているわけではなく、どの活動を取っても、それらが全部総合されて詰まっているだけでなく、これを学んだら次にはこれを、と活動が並んでいるわけでもなく、子どもはいわば興味のままにあれやこれやと活動を変えていきます。そうであるからこそ、子どもの遊びは楽しいのです。そこに次はこれと次々に指示を与えていたら、子どもの遊びの楽しさが蒸発して、いやいややる作業になっていくし、さらに困ったことに自分から工夫し発展することの面白さを身に付けられません。それこそが一番大事な幼児期の学び中の学びなのです。

 そうは言っても幼児がいろいろなことを見つけて気付いたときに、そのままにしておくとしばしばそれは忘れられていきます。場面が少しでも違うと使わなくなるのです。
 ではどうしたらよいのか。そこに幼児の遊びの楽しさを学びへと導く大きなポイントがあります。それは繰り返しつつ、その都度少し違うようにそこに揺らぎや偶然や思いつきの余地を入れることによってです。正確な繰り返しを求めるのではなく、ちょっとずつ違いながら、でも似ている活動を繰り返すようにしていくことが幼児期の教育の指導法の要です。
 といっても、いちいちガラッと環境や教材を変える必要はありません。園庭や外の道を散歩することだって、晴れの日と雨の日では印象が変わるだけでなく、歩き方が異なって、水たまりがあれば、滑らないように気を付けるし、水回りに入ってピチャピチャするかもしれません。紙に絵具で水彩線を引いて遊んだとして、水をたっぷりとして、紙を縦にすると、色を含んだ水が下に流れて、面白い模様が出来ます。前もって油性のクレヨンで描いてそこに水彩を流すと、その色が一部にだけついたりします。それどころか、紙を大きな模造紙にしたり、段ボールにするだけで絵が描かれるものも変わりますが、そもそも描き方が違ってきます。

 幼児に取って、何をするにしても、何に出会っても、そこには大人より遙かに細かい小さいことに反応して、違うものとして接するのです。その都度新鮮で、実際そのときに新たな手や足の動かし方をして、その小さな手足の動かし方の違いが新たな身体感覚となり、幼児の遊びからの学びとなっていくのです。


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