保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集保育のひきだし こどもの可能性を引き出すアイデア集

保育士のひきだし

2020.04.03

【抱え込まないで】保育士同士の人間関係に悩んだときの対処方法

人間関係の悩みは、どの職場でも起こりうるものです。しかし、保育園は女性が多い職場であるがゆえ、人間関係の問題はより複雑です。実際に、上司や同僚との人間関係に悩んで退職する保育士も多く、東京都の調査でも、保育士の退職意向理由のなかで「職場の人間関係」は常に上位を占めているのが現状です。

そこで今回は、保育士同士の人間関係について徹底解説。悩んでしまったときに、ぜひ試してほしい対処法をご紹介いたします。ひとりで悩みを抱え込まないで、まず一歩踏み出してみませんか。

保育士は同僚との関係に悩みやすい

厚生労働省の調査によると、2018年の保育士の人数は、女性保育士216220人・男性保育士13400人。圧倒的に女性保育士の数が多く、ほとんどの現場で、女性が9割以上を占めているのが現状です。

そのため、次のような、女性ならではのトラブルが起こりがちです。

  • 派閥・グループができる
  • 陰口・悪口・うわさ話が多い
  • 感情の起伏が激しい、など

また、「児童福祉施設最低基準」により、子どもの年齢・人数に応じて必要な保育士の人数が定められているため、1つのクラスにつき複数の保育士が担当しています。ペアやチームを組んだ保育士と保育の方向性が異なっていたり、そもそも人間性が合わなかったりしても、一年間は毎日一緒に働くので、悩みが解消されにくいのです。

【参考】厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」

人間関係改善の基本は「信頼関係」

仕事をしていくうえで、人間関係は必ず存在します。そのなかで、良好な人間関係を築くための基本が、相手と「厚い信頼関係」を築くこと。もし、相手を気遣って発した言葉であっても、そこに信頼関係がなければ、場合によっては悪く捉えられてしまうかもしれません。

もし今あなたが、職場の人間関係で悩んでいるなら、相手を信じて頼ることができる関係を築けているかどうか、をよく考えてみてください。

人間関係改善のために実践したいこと

では、職場の仲間と信頼関係を築いていくためには、一体どうしたらよいのでしょうか。早速、人間関係を改善するためのヒントを探っていきましょう。

コミュニケーションを見直す

うまくコミュニケーションを取れていないために、ささいなことですれ違いがおき、人間関係が悪化してしまうケースもあります。良好な関係を築けていない原因がコミュニケーション不足であれば、自分から積極的に声をかけ、話を聞く姿勢で接してみましょう。

そのために、まずはあいさつをしっかりとすることが大切。あいさつ1つで相手に与える印象は全く違います。笑顔であいさつができれば、周りの人に好印象を与えます。反対に、下を向いたあいさつでは不快を与えてしまうでしょう。信頼関係を築く第一歩として、笑顔で元気なあいさつを心がけてみましょう。笑顔であいさつをされると相手の気持ちも明るくなり、その後の会話も生まれやすくなります。

また、「報告・連絡・相談」を徹底することもです。保育士同士の連携がとれていなければ、子どもたちを安全に保育できません。「これくらいなら伝えなくていいや」と思っていたことが後々大きなトラブルへと発展し、関係がより悪化してしまう場合もあります。ささいなことでも「報告・連絡・相談」を決して怠らないようにしましょう。

思いやりの気持ちをもって話し合う

保育の方向性が異なる相手と毎日一緒に働くのは、とてもストレスが溜まるものです。しかし、考え方は人それぞれ。人が違えば、保育の考え方・やり方が異なるのは当然です。

保育の方向性の違いで人間関係が悪化している場合には、「私の理想とする保育とは違う」と頭ごなしに否定するのではなく、「考えが異なるのは仕方ないこと」と相手への思いやりの姿勢をもち、一度お互いの考えを話し合ってみてはいかがでしょうか。

「私はこうしたいのに、どうしてそんなことをするのだろう…」そう思ったときにきちんと話し合えれば、お互いに理解し、妥協点を見つけて歩み寄ることができるかもしれません。会話の中で相手の意外な一面を見られることもあるでしょう。「私は〇〇だと考えていますが、どう思いますか?」と声をかけ、まずはお互いの考えを照らし合わせてみましょう。

相手の良いところを見つける

合わない相手がいると、その人の悪いところばかりが目に付いてしまいがちです。それでは、関係が悪化してしまう一方です。そんなときには、できるだけその人の良いところを探してみましょう。良い面がひとつ、ふたつと見つかれば、合わない面も徐々に気にならなくなっていきます。

また、保育の現場で多く見られる陰口や悪口は人間関係を悪化させる一番の原因です。誰かを傷つけるような話ばかりしていると、他の保育士からの信用を失ってしまう可能性もあります。陰口・悪口は絶対にNGです。ちなみに、自分を評価してくれる相手には誰でも好感を持つものです。悪口ではなく、褒める内容の話を積極的にしていくとよいでしょう。

「いじめ」だと感じたら相談しよう

人間関係を改善するためには、積極的にコミュニケーションを図ったり、話し合いの場を設けたりして、信頼関係を築いていくことが大切です。しかし、悪質な「いじめ」を受けているなら話は別。いじめは人権を踏みにじる行為です。場合によって賠償請求を求めることも可能です。ひとりで悩みを抱えたり、解決しようと試みるのではなく、必ず誰かに相談するようにしましょう。

そこでここからは、職場でいじめのような扱いを受けた場合の対処法について解説していきます。

園長など信頼できる上司に相談する

保育の現場で起こるいじめのなかで最も多いとされているのは、先輩や同僚からのいじめです。たとえば、次のような例があります。

  • あいさつしても無視される
  • 大勢の前で必要以上に罵られる
  • 仕事を教えない・連絡事項を伝えない
  • わざと保護者や子どもの前で注意される、など

すでにお話した通り、保育園は女性が多い職場なので派閥やグループができやすく、いじめのターゲットとなると孤立してしまうこともあります。先輩保育士や同僚からのいじめに悩んだ場合には、まず園長や主任など信頼できる上司に相談してみましょう。

なお、園長や管理職クラスの保育士には、次の通り「労働契約法」によって職場の環境を適切に整える義務が課せられています。

【労働契約法第5条】

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

上記の「生命、身体等の安全」には、もちろん心身の健康も含まれています。そのため、シフトを変える、面接をする、いじめの主犯格の保育士に指導する、といった対応をとってもらえるはずです。ひとりで悩みを抱え込まずに、まずは味方になってくれる人をつくっていきましょう。

【参考】

電子政府の総合窓口e-GoV「労働契約法」

厚生労働省「労働契約法のあらまし」

公的機関に相談する

上司に相談しても適切な対応を取ってくれない場合もあります。さらには、園長や管理職クラスの保育士からいじめを受けるケースも。万が一、職場に味方がいない場合、いじめが解決しない場合には、公的機関を活用しましょう。なお、いじめの相談ができる公的機関は次の通りです。

総合労働相談コーナー

厚生労働省が管轄する相談機関です。いじめ・パワハラ・セクハラ・解雇など、あらゆる分野の労働問題について相談できます。なお、相談は予約不要で、利用費は無料。専門の相談員に電話か面談で悩みを聞いてもらえます。利用する場合は、お住いの都道府県労働局に問い合わせてみましょう。

【参考】厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

みんなの人権110

法務省が管轄する相談窓口です。差別・虐待・パワハラなど、さまざまな人権問題についての相談を電話で受け付けてくれます。また、法務局や地方法務局の窓口では、面接による相談も可能です。

【参考】法務省「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」

法テラス

国が設立した、法的トラブル解決の総合案内所です。悩みに応じて、問題を解決するための法律や手続き、適切な相談窓口を無料で案内してくれます。

【参考】日本司法支援センター法テラス「労働」

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト/こころの耳

心の不調や悩みを抱えながら働いている方、またはその方の家族に向けて、問題解決に役立つ支援や情報を提供してくれるポータルサイトです。必要に応じて、相談窓口や医療機関の紹介もしてくれます。

【参考】働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト【こころの耳】

退職・転職も検討

上司や公的機関などに相談しても、どうしても状況が変わらない場合には、思い切って退職や転職を検討してみましょう。

いじめは、ひとりで悩むものではありませんし、我慢する必要はありません。

必ず、自分に合った環境の保育園があるはずです。現在勤務している保育園でいじめを受けているのなら、自分自身の身体と心を守ることが最優先。ぜひ一歩、踏み出してください。

まとめ

保育士は、職場に女性が多く、チームやペアを組んで働くことが多いため、人間関係の悩みにぶつかることが多々あります。相手との関係を改善したいと思っているなら、ぜひ、自分から積極的にコミュニケーションをとってみましょう。保育に対する考え方にズレが生じているのなら、一度じっくり話し合ってみることで、お互いに理解が深まり、歩み寄れる可能性もあります。

その際には、相手を思いやる姿勢を忘れずに。ただし、いじめで悩んでいる場合には、ひとりで抱え込まず、すぐに信頼できる上司や公的機関に相談してくださいね。状況によっては、退職や転職も良い選択肢です。

悩みを解決するために、早速一歩、踏み出してください。

【参考】

東京都/平成30年度東京都保育士実態調査結果(報告書)


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