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まなびのひきだし

2018.02.07

保育所保育指針の改訂のポイント(その 8) 保育の環境

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「保育所保育指針の改訂のポイント(その 8)保育の環境 」です。

保育所保育指針
第1章 総則
2 養護に関する基本的事項
⑵ 養護に関わるねらい及び内容
ア 生命の保持
(ア) ねらい
① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
② 一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。
③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
(イ) 内容
① 一人一人の子どもの平常の健康状態や発育及び発達状態を的確に把握し、異常を感じる場合は、速やかに適切に対応する。
② 家庭との連携を密にし、嘱託医等との連携を図りながら、子どもの疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な保育環境の維持及び向上に努める。
③ 清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活のリズムがつくられていくようにする。
④ 子どもの発達過程等に応じて、適度な運動と休息を取ることができるようにする。また、食事、排泄 、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、子どもが意欲的せつに生活できるよう適切に援助する。

  養護とは保育指針では、生命の保持と情緒の安定として規定されています。保育士はまずは生命の保持を可能にするのは、子どもを預かる以上、当然ですが、それは単に命が危険であること以上の働きがあります。子どもが生き生きと生活し、成長していくことの基盤中の基盤を生命の保持と呼んでいます。

  子どもの快適さを保ちましょう。それは嫌なことをすべてなくして、子どもが喜ぶことばかりを用意しようというのではありません。子どもの心身の働きが回転するように進んでおり、心地よい状態が可能であることや、嫌なことがあってもそれは一時的なことですぐに快適な状態に戻れるということを意味しています。さらに、その場で対応するだけでなく、気持ちよく生活できるように環境の隅々まで配慮し、また子どもの側の生理的自然を大事にして、そのペースを元に生活のあり方を組み立ていくのです。その快適さは何より子どもの表情や振る舞いが穏やかであるか、生き生きとしているか、たびたびかんしゃくを起こしたりしていないか、沈み込んだ姿はないか、ボンヤリとして過ごしていないか、などで見えてきます。
  そういった快適さを実現する上で、健康で安全な生活環境は欠かすことが出来ません。それはケガや病気をしないということですが、実は 100%それをなしには出来ません。病気なら感染症の細菌やウィルスとの接触はゼロにはできないのです。ただ、手を洗う、うがいをするなどを励行し、また吐瀉物や排泄物の処理からの感染を防ぐ手立てを素早くすることによって、かなりを防げることは確かです。ケガにしても、振り返ってみると、もっともな原因やきっかけがあるものです。つまづくとか、ものを落とすとか、落ちるとか、やけどをするとか、飲み込むとか、小さな子どものケガの原因や誘因の多くは分かっています。定期的にそれについて点検をする必要があります。また特に片付けには配慮して、危険をその都度防止しましょう。
  難しいのは昼寝中や水遊び中の事故の予防です。きちんとしたマニュアルがあるので、それを厳守することが基本です。アレルギー対応もそのやり方が決まっているので、守りましょう。
  特に小さい子どもであればある程、生理的欲求を自分では満たせないので、保育士が配慮すべきです。飲食や排泄、睡眠などがしっかりと確保されるよう、環境を整えるとともに、子どもの様子や行動に応じて機敏にかつ適切に対応していきます。その際、難しいのは、その時の欲求を満たすこととともに、自立に向けて育てていくという責務が大人にはあるということです。自分でやれる範囲と大人がやってやるところを区別し、さらに少し手伝えば出来るところや補助を入れればほぼ自立するところ、また自立はしていないが、自分でやろうとする意欲を大切にして、それを援助することなど、保育士の仕事は微妙で複雑であり、だからこそ専門性があると言えるのです。子どもの今を大事にして、快適で幸せな状態を確保し、それを通して将来への育ちへの布石を作っていきます。
  健康の増進とは、例えば、よく寝ること、まんべんなく、よく噛んで食べること、体を動かすこと、快活に快適に過ごすことなどからなります。子どもには自ずと成長する力があります。生理的欲求を満たせば、次に成長への力が湧き出てきます。それを大事にして、その勢いがうまく生まれ、育っていくことが保育という仕事の中心です。
  健康のために、が先に来るのではありません。まず、快適に過ごすという状態があってこそ、生きる元気が生まれます。そのためにも、健康な生活条件を整え、危険や環境をなくし、さらに生理的欲求を満たすのですが。それがいかにして成長する力へと広がるか。その援助が保育です。
  こういった養護の中でも生命の保持が基本の中の基本であるとは、まさに子どもが生物的存在であるからです。心の成長はその生命のあり方が十全に満たされて出てくることなのです。  

いかがでしたか?それではまた来月

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監修者

無藤 隆

白梅学園大学教授
内閣府子ども・子育て会議会長
当社保育アドバイザー

略歴
東京大学 教育学部教育心理学科、東京大学大学院教育学研究科博課程、聖心女子大学・お茶の水女子大学教授を経て、2005年より現任
専門
幼児教育 発達心理学
著作
「幼児教育のデザイン: 保育の生態学(東京大学出版社)」(2013)、「学研ことばえじてん(学研)」(2013)他多数

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