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まなびのひきだし

2018.01.10

保育所保育指針の改訂のポイント(その 7) 保育の環境

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「保育所保育指針の改訂のポイント(その 7)保育の環境 」です。

保育所保育指針
第1章 総則
2 養護に関する基本的事項
⑴ 養護の理念
保育における養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とするものである。保育所における保育全体を通じて、養護に関するねらい及び内容を踏まえた保育が展開されなければならない。

  保育所保育における教育は養護に支えられたもので、しかも、まずは養護の確保が成り立って、教育は意味をなします。子どもは保育所の中で安全に暮らし、安心して過ごし、そこから落ち着いた気持ちでいられるからこそ、周囲へと関心が向けられ、様々なことに関わろうとするようになるのです。
その養護のあり方は何より子どもが命を持って生きているという事実に向かい合うことから始まります。生きているというのは生物であり、生存しているということを超えた人のあり方が生きるという生命のあり方に根ざしているということを指しています。

児童福祉法の第一条と第二条にこうあります。

第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

第二条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
2 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
3 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
健やかに生まれ育っていくためには、何より生活の保障が必要であり、それは単に衣食住だけのことではなく、世話する人が愛し保護することによってなのです。それは何より保護者の責任ですが、同時に、国・地方公共団体から保育の責務を依託されて担っている保育所においても、生活の保障と愛し保護することの責任があります。衣食住が同時に愛し保護することに重なりつながるようなあり方が必要なのです。
そうすると、生命として生きるということには、大人からの愛情と保護が欠かせないのだと分かります。そうであってこそ、子どもはその人間らしいあり方を保持し発揮できるのです。 保育指針では、この養護を生命の保持と情緒の安定という二つとして整理しています。それは、養護性という大きな子どもの生命のあり方に根ざして成り立つ二面であり、まったく別なことというのではありません。生命とは単に飢えないとか眠れるということを含めて、そこに心身のあり方の生き生きとしたあり方の保全と発展を志向するものだからです。
衣食住の保障からさらに子どもの生き生きとしたあり方を可能にしていくことが養護です。それは、実際に、生命を保持する保育士の営みが愛護と不可分であり、そこに子どもの生命性の発揮としての生き生きとした状態を支え、広げていくことなのです。
子どもの情緒の安定からさらに自己を肯定し、周りの「世界」に開かれていくことに発展していくので、そのことを養護と教育の一体性と名付けています。子どもの眠り、起き、周りを見回し、排泄が気持ちよくなされ、お腹が空いたらミルクや食べ物を口にできる。そこに、周りの大人が親密な関わり方をすることで、養護の働きかけが子どもの健やかな育成の土台を作っていくことになります。
保育士がとりわけ子どもが小さい時期にまた長い時間保育所で生活するときに、養護としての関わりを丁寧に行うことから子どもは周りへの関心が生まれ、育ち、能動的な主体としての子ども自身の物事や周りの人への関わりが始まっていきます。そのような子どものあり方を引き出すためにこそ、日常の一コマ一コマにある小さな世話に愛情を込め、丁寧に子どもに応答していく保育の仕事のすばらしさがあるのです。

 

いかがでしたか?それではまた来月

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