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まなびのひきだし

2017.09.06

保育所保育指針の改訂のポイント(その 3) 保育の方法

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「保育所保育指針の改訂のポイント(その3) 保育の方法 」です。

保育所保育指針
第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(3) 保育の方法
保育の目標を達成するために、保育士等は、次の事項に留意して保育しなければならない。
ア 一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが 安心感と信頼感をもって活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。 イ 子どもの生活のリズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。
ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。

保育所の保育をどのように進めていけば良いのでしょうか。

子どもの育ちは大きな流れや方向は共通ですが、細かく見ていくと、個人差も大きく、また家庭などの生活ぶりでもかなり変わります。何より小さい時期の育ちとは、家庭や地域での経験と園での経験とが合わさって成り立つものだからです。そういった背景を持った子どもが園にやってきます。まだ慣れないうちは、見知らぬ人に囲まれ、何をしていいか分かりません。愛着の持てる相手がおらず、子どもは不安です。そこを担当の保育士が中心となり、落ち着かせ、ここにいていいんだ、慰めがほしいならいつでもだっこでも何でもしてやるよと態度で伝えます。そうしているうちに次第に、子どもは周りの探索に乗り出すでしょう。やりたいことをやっていいんだよ、違っていたら、やさしく大人が補い、直してくれるし、と分かると、周りの大人への信頼感が生まれます。
いつも温かく応答してもらえると、安定した信頼感となり、そこに気をかけることなく、遊びに向かい、遊びに没頭するようになります。周囲を見回し、関わってみたいものやまねしたい遊びが目について、やってみたい・試してみたいと思うことでしょう。そういう自分からやってみたいことが生まれ、それを実現する機会が与えられ、それに向けて助けてもらえる状態を主体としての思いや願いが受け止められると呼んでいます。主体性の始まりとは、そのように自分がやってみたいことを怒られることなく始められることなのです。

子どもの生物としてのリズムは 1 日 24 時間にあります。大人なら寝不足が続き、それを日曜日に寝坊して補うなども可能ですが、小さな子どもはそうはいきません。よく寝る、よく食べる、よく活動する。そのバランスとそれを定時に行い、習慣づくことで、健康が維持されます。また、園では、子どもがいろいろなことを試しても危険がないようにして、子どもが始めたことを大人が怒ったり注意したりをできる限り減らします。子どものすることをしじゅう怒るのは環境が整備されておらず、子どもが興味を持つことが実は危険を伴う状態で放置されているからです。そういう安全な環境で、やってみたいことが生まれて、実際にやれるようになると、子どもの情緒が穏やかで肯定的に維持されるようになります。イヤな気持ちがあってもすぐに立ち直れる。はしゃぎすぎもしない。穏やかな機嫌のよい状態が多くの時間を占めるようになるので、情緒の安定が生まれます。
そこから自己を発揮するとは、自分のやりたいことをやっていくことにより、自分のやろうと思う欲望(それがつまり願いです)と具体的に実現したいこと(それが意欲です)が生まれ、何とかやろうとします。
自分のやりたいという思いは内面にあり、やろうする具体的な事柄が外にあります。ミルクを飲みたいという気持ちがあり、ミルクという存在が外にあり、その外にあるものを自分の欲求に沿って飲むという行為をして、自分の欲求が満たされます。そこに赤ちゃんの自己の始まりがあるのです。やりたいことと、まだ実現せずに外にあるもの、それを内に取り入れて、満足すること、この流れが自己形成の始まりです。自己を発揮するとはこういったことが始終可能になることです。時にムリで止められることもあるでしょうが、その場合に回り道して違う経路で実現できるようになることを通して自己は発揮され、育っていきます。
 

 

 
 

 

いかがでしたか?それではまた来月

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監修者

無藤 隆

白梅学園大学教授
内閣府子ども・子育て会議会長
当社保育アドバイザー

略歴
東京大学 教育学部教育心理学科、東京大学大学院教育学研究科博課程、聖心女子大学・お茶の水女子大学教授を経て、2005年より現任
専門
幼児教育 発達心理学
著作
「幼児教育のデザイン: 保育の生態学(東京大学出版社)」(2013)、「学研ことばえじてん(学研)」(2013)他多数

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