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保育士のひきだし

2018.12.25

【なぜ食育が大切なのか?】保育園が積極的に取り組む食育活動とは

食育活動、どのように行っていますか?

保育所保育指針にも記載されている食育は、子ども達の『食を営む力』の土台を作ってあげるための重要な役割。

子ども達に、楽しく、興味を持って『食』に触れてもらえるよう、積極的に取り組んでいきたいものです。でも、いざ実践しようとするとなかなか難しいですよね。

「具体的にどんなことをすればいいの?」

「年齢差があってそれぞれ何をすればいいのか分からない」

「そもそも、保育園でも食育って大事?」

など、食育に悩みを抱える保育士も少なくありません。

そこで、なぜ食育が必要なのか、その理由と保育園における食育実践のポイントを徹底解説。

日々の保育のなかに、楽しく『食育』を取り入れていくための手がかりを探っていきましょう。

食育が注目されるようになった理由とは?

そもそも、食育という言葉とその概念って、いつから使われるようになったのでしょう。そして近年、どうして積極的に食育に取り組むようになったのでしょうか。

まずは、食育が注目されるようになった理由から解説します。

『食育基本法』からはじまる食育活動

「いただきます!」

テーブルに並んだ、色とりどりのおいしそうなご飯を、みんなで囲んで楽しく食べる。

そして、笑顔で「ごちそうさま!」

一昔前までは当たり前だったこんな風景が、今では当たり前でなくなりつつあります。

家族が不在のなか一人で食事をする『孤食』や、家族がそれぞれ好きなものを食べる『個食』をする人が増え、さらに、過激なダイエットによるやせすぎや不規則な食事による肥満、生活習慣病の増加など…。

近年、『食』にまつわる多くの問題が見られるようになりました。毎日の『食』の大切さが忘れられがちになってきているのです。

そして、これらの食の問題を社会全体で見直し、食の大切さと楽しさを誰もが共通して認識できるようにするため、2005年に施行されたのが『食育基本法』。この『食育基本法』をきっかけに食育という言葉が広がり、年々注目を集めるようになりました。

農林水産省では、食育について以下のように説明しています。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てること

引用元:農林水産省『食育の推進

つまり、生きるうえで大切な『食』に関する正しい知識を深め、バランスの良い『食』を選び、健康的な食生活を自ら営んでいくための力を育むことが食育。そして、『食育基本法』には、この食育を国全体で推進していくための基本理念、施策の基本事項が盛り込まれています。

幼児期における食育の重要性とは?

健康な体を維持するため、健康的に生きていくために、『食』はとても重要なもの。それは当然のことですよね。

しかし、バランスの良い食生活を数回送ったところで、すぐに健康になれるというわけではありません。長い時間をかけ、規則正しい食生活を積み重ねていくことで、少しずつ健やかな心と体が育まれていくのです。

そのため、小さい頃からの食育がとても重要になってきます。

食べる楽しさや喜びを知ったり、食材に対する感謝の気持ち持ったり、苦手なものを食べられるようになった達成感を味わう、などといった幼児期の食体験。これらが、それ以降の心と体の成長に大きく影響を与え、生涯にわたって豊かな食生活を送っていくための土台となっていくのです。

また、小さい頃から正しい食生活を身につけていった子どもは、大人になってからもその生活を維持していくことでしょう。しかし、正しい食生活を知らずに育った子どもは、知らないまま大人になり、健康を害するまで食事の大切さに気付くことができないかもしれません。

健康な体を維持し、健康的に生きていく力は、幼児期からの食育によって培われ、定着していくのです。

厚生労働省の掲げる食育目標と保育園での食育活動

『食育基本法』がきっかけとなり食育への取り組みが始まりました。そして近年、厚生労働省の掲げる食育目標のもと、多くの保育園などで積極的に食育が取り入れられるようになっています。

この食育目標とはどのような内容なのでしょうか。つづいては、厚生労働省の掲げる食育目標の内容と、その目標に基づいて行われている保育園での食育活動についてみていきましょう。

厚生労働省の掲げる食育目標・保育園での食育活動とは?

厚生労働省が『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』の中で掲げている食育目標は、子ども達が生涯にわたって健康的に生活していくための基本となる、『食を営む力』の基礎を培っていくこと。そして、子ども達が食育を通して、以下の5つのような姿に成長していくことを目指しています。

  • おなかがすくリズムのもてる子ども
  • 食べたいもの、好きなものが増える子ども
  • 一緒に食べたい人がいる子ども
  • 食事づくり、準備にかかわる子ども
  • 食べものを話題にする子ども

では、目標とするこれら5つの子どもの姿について詳しくみていきましょう。

① おなかがすくリズムのもてる子ども

ごはんをしっかり食べて栄養を摂るためには、一日三食、それぞれの食事の時間におなかが空いていることが大切です。

保育園では、午前中に散歩や外遊びなどで思いっきり体を使って遊び、給食やお弁当の時間に子どもたちが自然とおなかがすくような、規則正しい生活リズムを作ることを目標としています。

② 食べたいもの、好きなものが増える子ども

好きな食べものが増えると、子ども達は自ら食を楽しむようになります。

保育園では、調理方法に工夫を凝らしたり、旬や季節を感じることのできる行事食を取り入れたり、お誕生会などのワクワクするイベントを設けることで、いろいろな食材への興味や関心を育てていくことを心がけています。

③ 一緒に食べたい人がいる子ども

食事は、誰かと一緒に食べることでよりおいしく、より楽しいものとなります。しかし、近年では、子どもが一人で食事をする『孤食』が問題視されています。

そこで、保育園では、保育士や友だちと一緒に食事を楽しむ場所を設定し、みんなで会話をしながら食べることの楽しさや喜びを伝えています。

④ 食事づくり、準備にかかわる子ども

食事づくりや準備をすることで、食材に対する関心を高めることができ、また、盛り付けや食事のマナー、片付けなどを学ぶことができます。

保育園では、給食を配膳する当番活動を設け、子ども達を積極的に準備に関わらせています。また、食に対する感謝の気持ちを育むため、自分たちで育てた野菜を調理して食べるといったような、収穫体験やクッキング体験などのプログラムを取り入れています。

⑤ 食べものを話題にする子ども

友だち同士で好きなメニューや好きな食材を話し合うなど、幼児期から食べものの話題に親しむことで、食への興味と関心を持つようになります。

保育園では、給食をみんなで一緒に食べたり、クッキング体験や野菜作り体験、おいも掘りやフリーツ狩りなどの行事を通して、食べものが話題になる機会を積極的に作っています。

これらの5つの子どもの姿は、それぞれが関連し合うもの。幼児期からの食育を通して上記の5つが統合され、『食を営む力』を身につけた大人へと成長することが期待されています。そして各保育園では、この目標を指針としてさまざまな食育活動が行われているのです。

保育園での食育、年齢別のねらいとその内容とは?

厚生労働省の『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』の中には、保育園での食育のねらいと内容が、年齢別にわかりやすくまとめられています。

0歳児~5歳児まで、幅広い年齢の子ども達が生活している保育園。一言で食育といっても、年齢によってその目的も目指すものも変わってきますよね。それぞれの年齢に合わせてどのように食育を実践していけばよいのか、厚生労働省の定める年齢別のねらいについても

しっかりと確認していきましょう。

6カ月未満児

泣くことで自分の欲求を表現している6カ月未満児。食育の主なねらいと内容は以下の通りです。

食育のねらい

l  おなかがすいたときやおっぱいを欲しがるときに、母乳やミルクを満足のいくまでゆったりと飲むこと

l  安定した人間関係の中で心地よい生活を送ること

食育の内容

l  よく遊び、よく眠る

l  保育士に抱かれてゆったりと母乳やミルクを飲む

6カ月〜13カ月未満児

食べものに興味を持ったり、食べさせてくれる人に関心を示し始める6カ月~1歳3カ月未満児。食育の主なねらいと内容は以下の通りです。

食育のねらい

l  おなかがすいたら喜んで母乳やミルク、離乳食を食べること

l  いろいろな食べものを見たり触ったり、実際に味わう経験を通して、自分から進んで食べようとすること

食育の内容

l  よく遊び、よく眠る

l  おなかがすいたら、泣いたり喃語を話したりすることで、乳や食べものが欲しいことを伝える

l  食べさせてくれる人に関心を持つ

1歳3カ月~2歳未満児

自立心が芽生え、自分から食べようとする意欲が高まる1歳3カ月~2歳未満児。食育の主なねらいと内容は以下の通りです。

食育のねらい

l  おなかがすいたら喜んで食事をとること

l  いろいろな食べものを見たり触ったり、噛んで味わう経験を通して、自分から進んで食べようとする力をつけること

食育の内容

l  よく遊び、よく眠り、食事を楽しむ

l  手づかみやフォーク、スプーンを使って、自分から意欲的に食べようとする

l  食事の前後や汚れたときには手や顔を拭き、きれいになることの気持ちよさを感じる

l  一緒に食べる人に関心を持つ

2歳児

まだ手伝いは必要なものの、いろいろなことが一人でできるようになってくる2歳児。食育の主なねらいと内容は以下の通りです。

食育のねらい

l  いろいろな種類の食べものや料理を味わうこと

l  食生活に必要な基本的な習慣やマナーに関心を持つこと

l  保育士や友だちと一緒に食べる楽しさを味わうこと

食育の内容

l  よく遊び、よく眠り、食事を楽しむ

l  フォークやスプーン、お箸を使って、いろいろな食べものを自分から進んで食べようとする

l  保育士がサポートし、うがいや手洗いなどの食生活に必要な活動を自分でする

l  保育士や友だちと一緒に食事をすることの喜びを味わう

l  一緒に食べる人、調理する人に関心を持つ

3歳以上児

3歳以上児には、以下の5つのテーマに分けて食育のねらいを定めています。

  • 食と健康
  • 食と人間関係
  • 食と文化
  • いのちの育ちと食
  • 料理と食

では、それぞれ5つのテーマについて詳しくみていきましょう。

食と健康

食育のねらい

l  多くの種類の食べものや料理を味わうこと

l  栄養バランスを考慮した食事を自らとろうとすること

l  食生活に必要な習慣やマナーを身につけること

食育の内容

l  好きなものをおいしく食べる

l  嫌いなものや慣れないものにも挑戦する

l  自分の健康と食べものの関係に関心を持ち、必要な食品を進んで取ろうとする

l  うがい・手洗いなど、食生活に必要な活動を自分でする

l  保育所生活での食事の仕方を学び、自分たちで環境を整える

食と人間関係

食育のねらい

l  身近な人と一緒に食べる楽しさを味わうこと

l  食事を通して愛情や信頼感を持つこと

l  食生活に必要な習慣やマナーを身につけること

食育の内容

l  保育士や友だちと一緒に、同じ料理を食べたり、分け合って食べることの喜びを味わう

l  食生活に必要なことを、友だちと協力して進める

l  食事を通して友だちとのかかわりを深め、思いやりを持つ

l  調理をしている人に関心と感謝の気持ちを持つ

l  楽しく食事をするための必要な決まりに気づき、守ろうとする

食と文化

食育のねらい

l  いろいろな料理に出会って発見を楽しみ、さまざまな文化に気づくこと

l  地域の食文化を体験し郷土への関心を持つこと

l  食生活に必要な習慣やマナーを身につけること

食育の内容

l  食材の旬を学び、季節感を感じる

l  地域の産物を活かした料理を味わい、郷土への親しみを持つ

l  伝統的な日本食を体験する

l  自分と異なる食文化に興味を持つ

l  食事に合わせてお箸やスプーンなどを使い分けられるようになる

l  食事のあいさつや正しい姿勢など、気持ちよく食事をするためのマナーを身につける

いのちの育ちと食

食育のねらい

l  自然の恵みと働くことの大切さを知り、感謝の気持ちを持って食事を味わうこと

l  栽培・飼育・食事を通して身近な存在に親しみを持ち、いのちを大切にする心を持つこと

l  食材に対する感覚を豊かにすること

食育の内容

l  動植物に触れ合うことで、命の尊さや不思議さに気づく

l  子ども達で野菜を育てて、収穫し、食べる

l  小動物を飼い、世話をする

l  卵や牛乳など、身近な動物からの恵みに感謝の気持ちを持つ

l  食べものをみんなで分け、一緒に食べる喜びを知る

料理と食

食育のねらい

l  身近な食材を使って調理を楽しむこと

l  食事の準備や後片付けに自ら関わり、それを生活に取り入れていくこと

l  食事にふさわしい環境を考えて落ち着いた雰囲気で食事をとること

食育の内容

l  調理師や栄養士の調理を見る

l  食事作りの過程の中で、自分でできることを増やす

l  食材の色、形、香りなどに興味を持つ

l  調理器具の安全な使い方を身につける

l  おいしそうな盛り付けを考える

l  食事が楽しくなる雰囲気を考え、おいしく食べる

保育園で実際に行われている食育活動の例

ここまで、厚生労働省の掲げる食育目標や、年齢別に定められている食育のねらいなどについて解説してきました。でも、具体的にはどのように食育を実践していけばよいのでしょうか。

そこで、保育園で実際に行われている食育活動について一部ご紹介します。

ぜひ、食育計画の参考にしてみてくださいね。

親子クッキング体験

多くの保育園で行われているのが、親子で楽しむクッキング体験。身近な野菜を切ってピザを作ったり、カステラやバナナなどを使って簡単なデザートを作ったりと、年齢に合わせてさまざまな料理を作り、みんなでおいしく食します。大好きなお父さんやお母さんと一緒に楽しく料理ができて、子ども達は大喜び。料理が作られる過程や、作る楽しさなど、調理を通してさまざまなことが学べる食育活動です。

給食づくり見学

ある幼稚園では、調理室の窓がガラス張りとなっていて、子ども達が調理過程を見学できるようにしているようです。野菜を切ったり炒めたりするときの音、調理中に漂ってくる匂いに、子ども達は興味津々。実際に、調理師や栄養士が給食を作っている姿を見せることで、食材がどのように給食へと変わっていくのか、目や耳や鼻を使って学ぶことができます。また、作ってくれる人への感謝の気持ちも育むことができる食育活動です。

農業体験

地域の農家の方に協力してもらい、田植えや稲刈り、おいも掘りやフルーツ狩りなどを行う農業体験も注目度の高い食育活動です。なかには、園庭に畑を作り、子ども達が種から野菜を育てていく幼稚園もあるようです。いつも調理されて出てくる野菜がどのように育つのか、自分の目で見て学ぶことができます。

餅つき大会

行事イベントとして多くの保育園で行われているのが餅つき大会。餅つきや鏡餅の由来をクイズ形式で学んだり、実際に重い杵を持ち、みんなで力を合わせて餅つきをします。

もち米からお餅に変わっていく過程を目で見て学び、できあがったら、ふわふわのお餅をおいしく食べる。楽しくおいしい食育活動です。

食育カルタ

食育カルタとは、それぞれの都道府県や自治体、農政局、食育を広めたいと動いている団体が作っているカルタのことです。楽しく遊びながら、栄養や健康、食生活のマナーやルール、食文化などについて学ぶことができます。栄養士や保育士が子ども達に学んでほしい内容を考え、食育カルタを一から手作りしている保育園もあるようです。

食育カルタについては、農林水産省のホームページに詳細が載せられています。ぜひ、確認してみてくださいね。

日々の保育の中に食育を

幼児期から食育を行うことで、生涯にわたって健康的に生きていくための土台が作られていきます。

小さな頃から正しい食生活を身につけた子どもは、大人になってからもその生活を維持していくことでしょう。

小さな頃から、みんなで食事をとることの喜び、命をいただく尊さを学んだ子どもは、大人になってからも食を大切に感じていくことでしょう。

保育園での食育は、特別なメニューやイベントを取り入れていくことはもちろん、みんなで一緒に楽しく食べたり、食べものに関する絵本を読んだり、おままごとをしたりと、日々の保育の中にも自然と取り入れていくことができるものです。

おいしいものを楽しく食べるためにはどうすればよいか、どのようにすれば『食』に興味を持ってもらえるのか、ぜひ、日々の生活の中から見つけてみてはいかがでしょうか。

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