サクセス子ども子育て研究所

保育所保育指針の改訂のポイント(その 10) 保育の環境 [むっちゃん先生と学ぼう]

投稿日時:2018/04/04(水) 10:30rss

むっちゃん先生と学ぼう
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このコーナーでは、むっちゃん先生(無藤隆教授)が、保育・幼児教育の大事なポイントを分かりやすく解説します。一人でじっくり読むのもよし!研修の素材として、園やクラスのみんなと読むのもよし!様々な形でご活用ください。毎月1回(第1水曜日を予定)お届けします。読まなきゃ、損。差がつきますよ!

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こんにちは、無藤隆です。今月のテーマは、「保育所保育指針の改訂のポイント(その 10) 保育の環境 」です。


保育所保育指針
第1章 総則
3 保育の計画及び評価
⑴ 全体的な計画の作成
ア 保育所は、1の⑵に示した保育の目標を達成するために、各保育所の保育の方針や目標に基づき、子どもの発達過程を踏まえて、保育の内容が組織的・計画的に構成され、保育所の生活の全体を通して、総合的に展開されるよう、全体的な計画を作成しなければならない。
イ 全体的な計画は、子どもや家庭の状況、地域の実態、保育時間などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しをもって適切に作成されなければならない。
ウ 全体的な計画は、保育所保育の全体像を包括的に示すものとし、これに基づく指導計画、保健計画、食育計画等を通じて、各保育所が創意工夫して保育できるよう、作成されなければならない。


 保育所はその保育を「組織的計画的に」進めるとしています。計画的とは行き当たりばったりではなく、前もって、どのように子どもを育て教育していくかのねらいと内容を理解し、それを整理し、活動において実現できるように考えておくことです。組織的とは、それがねらいと内容をつなぎ、さらには総則において示される保育所保育の特質や目標に呼応して進めていくことです。保育所の保育が単に子どもを預かるだけではなく、園の環境を通した保育という原則と養護と教育を一体的に進めていく専門的な営みであることを明確にしています。この保育は養護にしても教育にしても、子どもの発達の進む様子を元にして成り立つものです。発達の流れあるいは進み方を過程として強調しています。子どもの今の様子に応じるだけでなく、その過去の経過を踏まえ、さらに未来に向けて子どもが伸びていくあり方を発達過程と呼んでいます。
 保育所保育の目標を達成するために、ねらいを整理し、それに応じた内容を持った活動の基本を示すものを全体的な計画と呼びます。保育所における生活のあらゆるところでそのための援助がなされており、また特定の活動を取っても、発達の多くの面に関わって援助がなされるので、「全体的」と称します。ちなみに、この全体的な計画は以前は「保育課程」と名付けていましたが、今回、その全体的な特性を強調することと、幼稚園や認定こども園と共通の名称として統一されました。

 全体的な計画は子どもの長い目で見ての成長に関わります。保育士の子どもへの働きかけは今の必要に応じるとともに、週、月、年、さらに乳幼児期全体やその先を念頭に置いてなされるものです。ですから、保育士は子どもの育ちの長期にわたる見通しを持っている必要があります。それは一般的な発達的傾向であると同時に、保育所という場所において、さらにその保育所の保育への理念に基づいて、子どもをこういう方向へと育てたいという保育する側の願いと経験により立てられるものです。子どもの日々の状況やその園に通わせる家庭の特徴、さらには地域の実態などを踏まえることも大切です。
 毎日の保育の時間も重大な考慮内容です。8 時間程度なのか、朝早くからか、夕方以降の保育もあるのか。子どもの多くはどうであるのか。その子どもはどうなのか。 全体的な計画は基本的には年齢などに応じて、多くの子どもの典型的な様子に応じて作るものですが、特に特徴的な個性のある子どもがいるときには配慮が必要ですし、子どもの個性に応じた違いについても組み込みましょう。
 全体的な計画は目標、ねらいに応じるところを示し、日々の具体的な活動につながるところは「指導計画」にゆだねます。むしろ、保育所の生活のすべて、そして目指して育てようとする全容を整理して保育士に分かるようにするものです。そこにおいて、保育所の保育は要するに何をすることなのかが明示されます。そして、日々の保育については、全体的な計画に基づいて、指導計画、保健計画、食育計画等により進めます。その二つの水準を分けることにより、しっかりと目標とねらいを持ちながら、日々の保育は様々な状況に応じて柔軟に進めることができるようになるのです。
いかがでしたか?それではまた来月